・本試験はステージIII期切除不能非小細胞肺がん患者に対する同時化学放射線療法終了から4~8週後に病勢進行(PD)を認めなかった患者に対して地固め療法として抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法の有効性を検証した第II相試験である
・本試験の主要評価項目である転移または死亡までの期間(TMDD)中央値は22.4ヶ月、12ヶ月転移または死亡率(TMDD rate)は74.7%を示した
・本試験の副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は17.0ヶ月、12ヶ月無増悪生存率(PFS rate)は60.2%を示した
2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)にて、ステージIII期切除不能非小細胞肺がん患者に対する同時化学放射線療法後の地固め療法としての抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)単剤療法の有効性を検証した第II相試験(NCT02343952)の結果がIndiana University Melvin and Bren Simon Cancer Center・Greg A. Durm氏らにより公表された。
本試験は、ステージIII期切除不能非小細胞肺がん患者に対する同時化学放射線療法終了から4~8週後に病勢進行(PD)を認めなかった患者(N=92人)に対して地固め療法として3週間に1回キイトルーダ200mgを最大12ヶ月投与し、主要評価項目として転移または死亡までの期間(TMDD)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した第II相試験である。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。性別は男性64.1%(N=59人)、女性35.9%(N=33人)。喫煙歴はあり(現在)17.4%(N=16人)、あり(過去)77.2%(N=71人)、なし5.4%(N=5人)。病期はステージIIIA期59.8%(N=55人)、IIIB期40.2%(N=37人)。
肺がんの種類は扁平上皮がん43.5%(N=50人)、非扁平上皮がん48.9%(N=45人)。化学療法の種類はカルボプラチン+パクリタキセル71.7%(N=66人)、シスプラチン+エトポシド26.1%(N=24人)、シスプラチン+ペメトレキセド2.2%(N=2人)。PD-L1発現率は0%(N=11人)、1-49%(N=11人)、50-100%(N=31人)。
以上の背景を有する患者に対する結果は下記の通りである。主要評価項目である転移または死亡までの期間(TMDD)中央値は22.4ヶ月(95%信頼区間:17.9ヶ月-未到達)、12ヶ月転移または死亡率(TMDD rate)は74.7%(95%信頼区間:63.8%-82.8%)、18ヶ月転移または死亡率(TMDD rate)は60.0%(95%信頼区間:47.4%-70.5%)、24ヶ月転移または死亡率(TMDD rate)は49.9%(95%信頼区間:34.8%-63.2%)であった。
副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は17.0ヶ月(95%信頼区間:11.9ヶ月-未到達)、12ヶ月無増悪生存率(PFS rate)は60.2%(95%信頼区間:48.7%-69.9%)、18ヶ月無増悪生存率(PFS rate)は49.9%(95%信頼区間:38.2%-60.5%)、24ヶ月無増悪生存率(PFS rate)は44.6%(95%信頼区間:32.2%-56.3%)であった。なお、全生存期間(OS)は未到達であった。
一方の安全性として、10%以上の患者で確認された主な全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。疲労46.2%(N=43人)、放射線肺臓炎25.8%(N=24人)、呼吸困難21.5%(N=20人)、食欲不振17.2%(N=16人)、関節痛15.1%(N=14人)、下痢15.1%(N=14人)、吐き気14.0%(N=13人)、皮膚障害12.9%(N=12人)、かゆみ10.8%(N=10人)であった。
以上の第II相試験の結果よりGreg A. Durm氏らは以下のように結論を述べている。”ステージIII期切除不能非小細胞肺がん患者に対する同時化学放射線療法後の地固め療法としてのキイトルーダ単剤療法は転移または死亡までの期間(TMDD)、無増悪生存期間(PFS)を改善し、忍容性も問題ありませんでした。”
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