・本試験は1レジメン以上の化学療法歴のある進行再発子宮頸がんおよび子宮体がん患者に対して抗PD-1抗体薬であるオプジーボ単剤療法の有効性、安全性を検証した第II相試験である
・本試験の主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は子宮頸がん群で25%、子宮体がん群で23%であった
・本試験の副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は子宮頸がん群5.6ヶ月、子宮体がん群3.4ヶ月であった
2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)にて、治療歴のある進行再発子宮頸がんおよび子宮体がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)単剤療法のの有効性と安全性を検証する第II相試験(JapicCTI-163212)の結果が埼玉医科大学国際医療センター・長谷川 幸清氏らにより公表された。
本試験は、1レジメン以上の化学療法歴のある進行再発子宮頸がん(N=20人)および子宮体がん患者(N=23人)に対して2週間に1回オプジーボ240mg単剤療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、6ヶ月全生存率(OS rate)などを検証した第II相試験である。
本試験に登録された患者背景は子宮頸がん、子宮体がんそれぞれ下記の通りである。年齢中央値は子宮頸がん群で50歳(32-68歳)、子宮体がん群で58歳(33-74歳)。ECOG Performance Statusはスコア0が75%(N=15人)、83%(N=19人)、スコア1が25%(N=5人)、17%(N=4人)。病期はステージIIIが5%(N=1人)、0%、ステージIVが35%(N=7人)、44%(N=10人)、再発が60%(N=12人)、57%(N=13人)。
子宮頸がんの種類は扁平上皮がん70%(N=14人)、腺がん25%(N=5人)、腺扁平上皮がん5%(N=1人)。子宮体がんの種類は子宮内膜腺がん65%(N=15人)、漿液性腺がん22%(N=5人)、子宮部癌肉腫9%(N=2人)など。治療歴は2レジメン未満45%(N=9人)、17%(N=4人)、2レジメン35%(N=7人)、39%(N=9人)、3レジメン以上20%(N=4人)、44%(N=10人)。放射線治療歴はあり85%(N=17人)、17%(N=4人)。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は子宮頸がん群で25%(80%信頼区間:13%-42%,N=5人)、子宮体がん群で23%(80%信頼区間:12%-38%,N=5人)であった。なお、病勢コントロール率(DCR)は子宮頸がん群で75%(80%信頼区間:59%-87%,N=15人)、子宮体がん群で68%(80%信頼区間:52%-81%,N=15人)であった。
なお、客観的奏効率(ORR)のサブグループ解析の結果は下記の通りである。PD-L1発現別では、PD-L1陽性子宮頸がん群では33%(80%信頼区間:17%-53%)、PD-L1発現陰性子宮頸がん群では0%(80%信頼区間:0%-37%)、PD-L1発現陽性子宮体がん群では25%(80%信頼区間:7%-54%)、PD-L1発現陰性子宮体がん群では21%(80%信頼区間:8%-42%)。
組織型別では、子宮頸がんの扁平上皮がん群28.6%(N=4/14人)、腺扁平上皮がん16.7%(N=1/16人)、子宮体がんの子宮部癌肉腫群0%(N=0/2人)であった。なお、子宮体がんのマイクロサテライト不安定性が高い(MSI-H)群100%(80%信頼区間:32%-100%,N=2/2人)、マイクロサテライト不安定性のない(MSS)群0%(N=0/6人)であった。
副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は子宮頸がん群5.6ヶ月(80%信頼区間:2.8-7.1ヶ月)、子宮体がん群3.4ヶ月(80%信頼区間:2.0-5.4ヶ月)であった。また、6ヶ月全生存率(OS rate)は子宮頸がん群84%(80%信頼区間:70%-92%)、子宮体がん群73%(80%信頼区間:58%-83%)であった。
一方の安全性として、グレード3から4の治療関連有害事象(TRAE)発症率は子宮頸がん群20%(N=4人)、子宮体がん群17%(N=4人)であり、その内訳はそれぞれ下記の通りである。子宮頸がん群ではリパーゼ上昇5%(N=1人)、皮疹5%(N=1人)、γ -GTP上昇5%(N=1人)、子宮体がん群ではリパーゼ上昇4%(N=1人)、CPK上昇4%(N=1人)。以上のようにこれまでに報告されているオプジーボの治療関連有害事象(TRAE)と比較して変わりはなかっった。
以上の第II相試験の結果より長谷川 幸清氏らは以下のように結論を述べている。”治療歴のある進行再発子宮頸がんおよび子宮体がん患者に対するオプジーボ単剤療法は有用性があり、忍容性も特に問題はありません。また、子宮頸がんではPD-L1発現率、子宮体がんではマイクロサテライト不安定性が高い(MSI-H)がオプジーボの有効性を予測できるバイオマーカーになり得る可能性が示唆されました。”
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