・類上皮肉腫患者をレジメンごとに分け、奏効率など比較検証したレトロスペクティブ試験
・アントラサイクリン系ベース、ゲムシタビンベース、パゾパニブ単剤の3レジメンを比較
・パゾパニブの治療効果は期待できない可能性があり、その他はほぼ同等の治療効果だった
2018年9月13日、医学誌『JAMA Oncology』にて進行性類上皮肉腫(ES)患者に対するアントラサイクリン系ベースの化学療法、ゲムシタビンベースの化学療法、マルチチロシンキナーゼ阻害薬であるパゾパニブ単剤療法の有効性をレトロスペクティブに検証した試験の結果がIRCCS Fondazione Istituto Nazionale Tumori・Anna Maria Frezza氏らにより公表された。
本試験は、1990年より2016年の間に欧州、米国、日本のサルコーマ治療を実施する医療機関にてアントラサイクリン系ベースの化学療法(N=85人)、ゲムシタビンベースの化学療法(N=41人)、パゾパニブ単剤療法(N=18人)の治療を受けた進行性患者類上皮肉腫(ES)患者(N=115人)を対象に、各治療レジメンの奏効率(RR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを比較検証した多施設共同のレトロスペクティブ試験である。
本試験が実施された背景は、類上皮肉腫(ES)という疾患は非常に稀な悪性新生物であり、進行性患者類上皮肉腫(ES)対するアントラサイクリン系ベースの化学療法、ゲムシタビンベースの化学療法、マルチチロシンキナーゼ阻害薬であるパゾパニブの有効性が臨床であまり確認されていなかったためである。
本試験のフォローアップ期間中央値34ヶ月時点における結果は下記の通りである。奏効率(RR)はアントラサイクリン系ベースの化学療法群で完全奏功(CR)1人を含む22%、ゲムシタビンベースの化学療法群で完全奏功(CR)2人を含む27%、パゾパニブ単剤療法群0%であった。
また、無増悪生存期間(PFS)中央値はアントラサイクリン系ベースの化学療法群で6ヶ月、ゲムシタビンベースの化学療法群で4ヶ月、パゾパニブ単剤療法群で3ヶ月であった。
以上のレトロスペクティブ試験の結果よりAnna Maria Frezza氏らは以下のように結論を述べている。”進行性患者類上皮肉腫(ES)患者に対するアントラサイクリン系ベースの化学療法、ゲムシタビンベースの化学療法はほぼ同様の奏効率(RR)、無増悪生存期間(PFS)を示し、パゾパニブ単剤療法の治療効果は期待できない可能性が示唆されました。”
Anthracycline, Gemcitabine, and Pazopanib in Epithelioid Sarcoma A Multi-institutional Case Series
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