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転移性トリプルネガティブ乳がん患者に対する一次治療としてのAKT阻害剤AZD5363+パクリタキセル併用療法、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)ともに統計学的有意に延長する米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)より

  • [公開日]2018.06.14
  • [最終更新日]2019.02.15
この記事の3つのポイント
・PAKT試験とは、未治療の転移性トリプルネガティブ乳がん患者に対する一次治療としてAKT阻害剤AZD5363+パクリタキセル併用療法のプラセボ療法に対する有効性を比較検証した第II相試験である
・本試験の主要評価項目である無増悪生存期間PFS中央値はAZD5363群5.9ヶ月に対してプラセボ群4.2ヶ月、AZD5363群で病勢進行または死亡のリスクを25%統計学的有意に減少した
・本試験の副次評価項目である全生存期間OS)中央値はAZD5363群19・1ヶ月に対してプラセボ群12.6ヶ月、AZD5363群で死亡のリスクを36%統計学的有意に減少した

2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)にて、転移性トリプルネガティブ乳がん患者に対する一次治療としてのAKT阻害剤であるAZD5363+パクリタキセル併用療法のプラセボ療法に対する有効性を比較検証した第II相のPAKT試験(NCT02423603)の結果がQueen Mary University of London・Peter Schmid氏らより公表された。

PAKT試験とは、未治療の転移性トリプルネガティブ乳がん患者(N=140人)に対する一次治療として28日を1サイクルとして2~5日目、9~12日目、16~19日目に1日2回AZD5363 400mg+1日目、8日目、15日目にパクリタキセル90mg/m2併用療法を投与する群(N=70人)、または28日を1サイクルとしてプラセボ+1日目、8日目、15日目にパクリタキセル90mg/m2併用療法を投与する群(N=70人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)などを比較検証した二重盲検下の第II相試験である。

本試験のフォローアップ期間中央値18.2ヶ月(95%信頼区間:13.6-24.0ヶ月)時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はAZD5363群5.9ヶ月に対してプラセボ群4.2ヶ月、AZD5363群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクが25%統計学的有意に減少した(ハザード比:0.75;95%信頼区間:0.52-1.08;片側検定P=0.06;両側検定p= 0.11)。なお、事前に設定した片側検定における有意水準は0.10である。

副次評価項目である全生存期間(OS)中央値はAZD5363群19・1ヶ月に対してプラセボ群12.6ヶ月、AZD5363群で死亡(OS)のリスクが36%統計学的有意に減少した(ハザード比:0.64;95%信頼区間:0.40-1.01;片側検定P=0.02;両側検定p= 0.04)。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。下痢はAZD5363群12%に対してプラセボ群1%、感染症はAZD5363群4%に対してプラセボ群1%、好中球減少症はAZD5363群3%に対してプラセボ群3%、皮膚障害はAZD5363群4%に対してプラセボ群0%、倦怠感はAZD5363群4%に対してプラセボ群0%であった。

以上のPAKT試験の結果よりPeter Schmid氏らは以下のように結論を述べている。”転移性トリプルネガティブ乳がん患者に対する一次治療としてのAKT阻害剤AZD5363+パクリタキセル併用療法は主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目である全生存期間(OS)ともに統計学的有意に改善を示しました。”

AZD5363 plus paclitaxel versus placebo plus paclitaxel as first-line therapy for metastatic triple-negative breast cancer (PAKT): A randomised, double-blind, placebo-controlled, phase II trial.(ASCO 2018, Abstract No.1007)

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