・既治療頭頸部がん患者を対象としてテセントリク単剤療法の第Ⅰ相試験
・グレード5の治療関連有害事象は確認されず、抗腫瘍効果も認められた
・抗腫瘍効果はPD-L1発現率・HPVステータスに関係なく確認された
2018年9月13日、医学誌『Annals of oncology』にて治療歴のある進行性頭頸部がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(商品名テセントリク;以下テセントリク)単剤療法の安全性、有効性を検証した第I相試験(NCT01375842)の結果がStanford Cancer Institute・Stanford Cancer Institute・A D Colevas氏らにより公表された。
本結果は、治療歴のある進行性頭頸部がん患者(N=32人)に対して3週間を1サイクルとして1日目にテセントリク単剤療法を16サイクル投与し、主要評価項目として安全性などを検証した第I相試験である。
本試験が実施された背景として、進行期の頭頸部がんの予後を改善する治療方法としての抗PD-1/PD-L1抗体薬に期待されているためである。抗PD-L1抗体薬であるテセントリクは他の固形がんに対して腫瘍効果を示すことが複数の臨床試験の結果より判っている。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。原発巣部位は口腔22%(N=7人)、中咽頭56%(N=18人)、下咽頭3%(N=1人)、喉頭6%(N=2人)、上咽頭13%(N=4人)。前治療歴は2レジメン以上の患者53%(N=16人)。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である安全性としては、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は21人、グレード3の治療関連有害事象(TRAE)は3人、グレード4の治療関連有害事象(TRAE)は1人の患者で確認された。なお、グレード5の治療関連有害事象(TRAE)を発症した患者は確認されなかった。
一方の有効性としては、客観的奏効率(ORR)は22%、奏効持続期間(DOR)中央値は7.4ヶ月(2.8-45.8ヶ月)、無増悪生存期間(PFS)中央値は2.6ヶ月0.5-48.4ヶ月)、全生存期間(OS)中央値は6.0ヶ月(0.5-51.6ヶ月)。なお、奏効率はPD-L1発現率、HPVステータスに関係なく確認されている。
以上の第I相試験の結果よりA D Colevas氏らは以下のように結論を述べている。”複数治療歴のある進行性頭頸部がん患者に対する抗PD-L1抗体薬テセントリク単剤療法は忍容性があり、抗腫瘍効果はPD-L1発現率、HPVステータスに関係なく示されました。”