2018年11月14日、医学誌『European Journal of Cancer』にて未治療の進行性悪性黒色腫(メラノーマ)日本人患者に対する抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)+抗CTLA-4抗体薬であるイピリムマブ(商品名ヤーボイ;以下ヤーボイ)併用療法の有効性、安全性を検証した第II相試験(JapicCTI-152869)の結果がNational Cancer Center Hospital・Kenjiro Namikawa氏らにより公表された。
本試験は、未治療の進行性悪性黒色腫(メラノーマ)日本人患者(N=30人)に対して3週間を1サイクルとしてオプジーボ1mg/kg+ヤーボイ3mg/kg併用療法を2サイクル投与し、その後3サイクル目以降は6週間を1サイクルとして2週間に1回オプジーボ3mg/kg単剤療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)などを検証した多施設共同非盲検非対照の第IIである。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は58.5歳(31-81歳)。性別は男性46.7%(N=14人)、女性53.3%(N=16人)。ECOG Performance Statusはスコア0で90.0%(N=27人)、スコア1で10.0%(N=3人)。
進行病期はステージIIIで6.7%(N=2人)、ステージIVで16.7%(N=5人)、再発76.7%(N=23人)。前治療歴中央値は0レジメンで73.3%(N=22人)、1レジメン20.0%(N=6人)、2レジメン以上で6.7%(N=2人)。
BRAF遺伝子ステータスは野生型90.0%(N=27人)、変異型6.7%(N=2人)、不明3.3%(N=1人)。PD-L1発現ステータスは1%以上で20.0%(N=4人)、1%未満で80.0%(N=16人)、5%以上で10.0%(N=2人)、5%未満で90.0%(N=18人)。
本試験の結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は43.3%(95%信頼区間:25.5%-62.6 %)を示した。病勢コントロール率(DCR)は73.3%(95%信頼区間:54.1%-87.7%)を示した。
また、PD-L1発現ステータス別の客観的奏効率(ORR)は1%以上群で75.0%(95%信頼区間:19.4%-99.4%)、1%未満群で50.0%(95%信頼区間:24.7%-75.3%)、5%以上群で100.0%(95%信頼区間:15.8%-100.0%)、5%未満群で50.0%(95%信頼区間:26.0%-74.0%)を示した。
副次評価項目である全生存期間(OS)中央値は未到達(95%信頼区間:19.5ヶ月-未到達)、無増悪生存期間(PFS)中央値は未到達(95%信頼区間:3.0ヶ月-未到達)ともに未到達を示した。なお、6ヶ月全生存率(OS)は93.3%(95%信頼区間:75.9%-98.3%)、12ヶ月全生存率(OS)は83.3%(95%信頼区間:64.5%-92.7%)、18ヶ月全生存率(OS)は72.9%(95%信頼区間:50.0%-86.5%)、24ヶ月全生存率(OS)は65.6%(95%信頼区間:40.4%-82.2%)を示した。
一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は100%(N=30人)を示し、最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は皮膚障害60%(N=18人)、下痢57%(N=17人)、発熱43%(N=13人)、リパーゼ増加40%(N=12人)、ALT増加37%(N=11人)、AST増加37%(N=11人)、掻痒33%(N=10人)などであった。
以上の第II相試験の結果よりKenjiro Namikawa氏らは以下のように結論を述べている。”未治療の進行性悪性黒色腫(メラノーマ)日本人患者に対するオプジーボ+ヤーボイ併用療法の客観的奏効率(ORR)は、既に公表されている第III相のCheckMate 067試験よりも低率であったが、病勢コントロール率(DCR)は高率でした。”
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