・c-Met陽性固形がん患者に対する抗体薬物複合体の可能性
・Telisotuzumab Vedotinの第1相試験結果
・グレード3以上の治療関連有害事象発現率47.9%
・c-Met陽性患者の奏効率は18.8%、病態コントロール率56.3%
2018年10月4日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてc-Met陽性固形がん患者に対する抗c-Met抗体薬物複合体であるTelisotuzumab Vedotin(ABBV-399)単剤療法の安全性、有効性を検証した第I相試験(NCT02099058)の結果がDuke Cancer Center・John H. Strickler氏らにより公表された。
本試験は、c-Met陽性固形がん患者(N=48人)に対して3週を1サイクルとして1日目にTelisotuzumab Vedotin(ABBV-399)0.15-3.3mg/kg単剤療法を投与し、主要評価項目として安全性、用量制限毒性(DLT)、最大耐量(MTD)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを検証した第I相試験である。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は65歳(40-86歳)。性別は男性52.1%(N=25人)、女性47.9%(N=23人)。ECOG Performance Statusはスコア0が27.1%(N=13人)、スコア2が70.8%(N=34人)、スコア3が2.1%(N=1人)。
原発巣腫瘍の部位は非扁平上皮非小細胞肺がん35.4%(N=17人)、扁平上皮非小細胞肺がん25.0%(N=12人)、大腸がん18.8%(N=9人)、乳がん8.3%(N=4人)、卵巣がん8.3%(N=4人)、子宮内膜がん4.2%(N=2人)。前治療歴中央値は4レジメン(1-15レジメン)。c-Metステータスは陽性率23/36人。
主要評価項目である用量制限毒性(DLT)は拡大コーホートにて2人の患者で確認され1人はTelisotuzumab Vedotin(ABBV-399)3.0mg/kgの投与を受けた患者で発熱性好中球減少症、グルコース不耐性、低リン酸血症、1人はTelisotuzumab Vedotin(ABBV-399)3.3mg/kgの投与を受けた患者で敗血性ショック、浮腫、低アルブミン血症であった。なお、最大耐量(MTD)の確認した患者は0人であった。
全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は95.8%(N=46人)、最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は倦怠感42%、便秘27%、吐き気27%、食欲不振23%、呼吸困難21%、嘔吐21%、下痢19%、末梢浮腫19%、神経障害17%を示した。
また、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は47.9%(N=23人)、最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は肺炎10%、低ナトリウム血症8%、食欲減退6%、呼吸困難6%、低アルブミン血症6%、低リン血症6%、好中球減少症6%を示した。なお、治療関連有害事象(TRAE)により死亡は確認されなかった。
副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は全患者群で6.3%(N=3人)、c-Met陽性群で18.8%(N=3人)を示した。また、病勢コントロール率(DCR)は全患者群で52.1%(N=25人)、c-Met陽性群で56.3%(N=9人)を示した。なお、両群間で完全奏効(CR)を達成した患者は確認されなかった。
また、c-Met陽性非小細胞肺がん患者16人(扁平上皮がん5人、非扁平上皮がん11人)の内、15人で腫瘍縮小効果が確認されている。そして、部分奏効(PR)を達成したc-Met陽性非小細胞肺がん患者3人(18.8%,95%信頼区間: 4.1%-45.7%)の奏効持続期間(DOR)中央値はそれぞれ3.1ヶ月、4.8ヶ月、11.1ヶ月、無増悪生存期間(PFS)中央値はそれぞれ5.7ヶ月、6.0ヶ月、15.4ヶ月を示した。
以上の第I相試験の結果よりJohn H. Strickler氏ら以下のように結論を述べている。”c-Met陽性固形がん患者に対するTelisotuzumab Vedotin(ABBV-399)単剤療法の忍容性は良好であり、c-Met陽性非小細胞肺がん患者に対する抗腫瘍効果は良好でした。”
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