・未治療のEGFR陽性の進行性非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験
・イレッサ+カルボプラチン+ペメトレキセド併用療法の有効性・安全性を比較検証
・イレッサ単剤療法に比べ、病勢進行または死亡のリスクを51%統計学的に有意に改善
2019年11月4日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて未治療のEGFR陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対するEGFRチロシンキナーゼ阻害薬であるゲフィチニブ(商品名イレッサ;以下イレッサ)+カルボプラチン+ペメトレキセド併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のNEJ009試験の結果がTokyo Metropolitan Cancer and Infectious Diseases CenterのYukio Hosomi氏らにより公表された。
NEJ009試験とは、未治療のEGFR陽性の進行性非小細胞肺がん患者(N=345人)に対して3週を1サイクルとして1日1回イレッサ250㎎+カルボプラチン AUC5+ペメトレキセド500mg/m2併用療法を投与する群(N=172人)、または1日1回イレッサ250㎎単剤療法を投与する群(N=173人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、2次無増悪生存期間(PFS2;二次治療開始より病勢進行または死亡までの期間として定義)、全生存期間(OS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、安全性などを比較検証した第3相試験である。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。
年齢中央値
併用群=64.8歳
単剤群=64.0歳
性別
併用群=男性 32.9%、女性 67.1%
単剤群=男性 37.2%、女性 62.8%
喫煙歴
併用群=なし 56.5%、あり 42.9%
単剤群=なし 56.4%、あり 43.6%
CNS転移有無
併用群=あり 29.4%、なし 70.6%
単剤群=あり 22.1%、なし 77.9%
EGFR遺伝子変異ステータス
併用群=Exon19deletion 54.7%、L858R 40.6%、その他 4.7%
単剤群=Exon19deletion 55.2%、L858R 39.0%、その他 5.8%
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は併用群20.9ケ月に対して単剤群11.2ケ月、併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを51%(HR:0.49,95%信頼区間:0.39-0.62,P<0.001)統計学的に有意に改善した。全生存期間(OS)中央値は併用群50.9ケ月に対して単剤群38.8ケ月、併用群で死亡(OS)のリスクを27.8%(HR:0.722,95%信頼区間:0.55-0.95,P=0.021)統計学的に有意に改善した。
一方、主要評価項目である二次無増悪生存期間(PFS2)中央値は併用群20.9ケ月に対して単剤群18.0ケ月、併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを18.2%(HR:0.818P=0.092)減少するも統計学的に有意な差は確認されなかった。副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は併用群84%(95%信頼区間:79%~90.4%)に対して単剤群67%(95%信頼区間:60%~74.3%)を示し、併用群で統計学的に有意に改善した(P<0.001)。
安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は併用群95.9%に対して単剤群98.2%、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は併用群65.3%に対して単剤群31.0%を示した。単剤群に比べて併用群で多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症31.2%に対して0.6%、貧血21.2%に対して2.3%、血小板減少症17.1%に対して0%を示した。
以上のNEJ009試験の結果よりYukio Hosomi氏らは以下のように結論を述べている。”未治療のEGFR陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対するEGFRチロシンキナーゼ阻害薬イレッサ+カルボプラチン+ペメトレキセド併用療法は、イレッサ単剤療法に比べて無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を統計学的に有意に改善しました。”
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