・再発難治性多発性骨髄腫患者を対象とした用量漸増第Ⅱ相試験
・ベネトクラクス+カイプロリス+デキサメタゾン併用療法の有効性を検証
・ハイリスク患者を含む全ての患者に高い奏効率を示した
2018年12月1日より4日まで米国・サンディエゴで開催された第60回米国血液学会(ASH)にて、再発難治性多発性骨髄腫患者に対するBCL-2阻害薬であるベネトクラクス+プロテアソーム阻害薬(PI)であるカルフィルゾミブ(商品名カイプロリス;以下カイプロリス)+デキサメタゾン併用療法の有効性を検証した第Ⅱ相試験(NCT02899052)の結果がUniversity of Alabama at Birmingham・Luciano J. Costa氏らにより公表された。
本試験は、再発難治性多発性骨髄腫患者(N=42人)に対して28日を1サイクルとしてベネトクラクス+カイプロリス+デキサメタゾン併用療法を以下のコーホートに分けて投与し、主要評価項目として治療関連有害事象(TRAE)発症率、副次評価項目として全奏効率(ORR)などを検証した用量漸増第Ⅱ相試験である。
・コーホート1
1日1回ベネトクラクス400mg+1、2、8、9、15、16日目にカイプロリス27mg/m2+1、8、15、22日目にデキサメタゾン40mg
・コーホート2
1日1回ベネトクラクス800mg+1、2、8、9、15、16日目にカイプロリス27mg/m2+1、8、15、22日目にデキサメタゾン40mg
・コーホート3/拡大コーホート
1日1回ベネトクラクス800mg+1、8、15日目にカイプロリス70mg/m2+1、8、15、22日目にデキサメタゾン40mg
・コーホート4
1日1回ベネトクラクス800mg+1、2、8、9、15、16、22、23日目にカイプロリス56mg/m2+1、8、15、22日目にデキサメタゾン40mg
本試験に登録された患者背景は以下の通りである。年齢中央値は66.5歳(37-79歳)。ISSステージ分類はステージⅡ/Ⅲが63%。染色体異常ステータスはt(11;14)が19%。前治療歴中央値は2レジメン(1-3レジメン)。プロテアソーム阻害薬に対して耐性を示した患者50%、免疫調節薬(iMids)に対して耐性を示した患者62%、両剤に対して耐性を示した患者33%。
本試験の結果は以下の通りである。主要評価項目である治療関連有害事象(TRAE)発症率は全グレードの治療関連有害事象は全ての患者で確認され、10%以上の患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象はリンパ球数減少26%、好中球数減少14%、高血圧12%であった。
副次評価項目である全患者群(N=42人)における客観的奏効率(ORR)は78%、最良奏効(VGPR)以上の奏効率は56%を示した。それぞれの特性に合わせて解析した結果は以下の通り。
■プロテアソーム阻害薬に対して耐性を示した患者群(N=21人)
客観的奏効率は76%、最良奏効以上の奏効率は67%
■免疫調節薬に対して耐性を示した患者群(N=26人)
客観的奏効率は77%、最良奏効以上の奏効率は50%
■両剤に対して耐性を示した患者群(N=14人)における客観的奏効率
71%(N=14人)、最良奏効以上の奏効率は64%
■染色体異常 t(11;14)を有する患者群(N=8人)
客観的奏効率は100%(N=14人)、最良奏効以上の奏効率は88%
■染色体異常 t(4;14)、t(14;16)、del(17p13)のいずれかを有するハイリスク患者群(N=12人)
客観的奏効率は83%、最良奏効以上の奏効率は75%
以上の第Ⅱ相試験の結果よりLuciano J. Costa氏らは以下のように結論を述べている。“再発難治性多発性骨髄腫患者に対するベネトクラクス+カイプロリス+デキサメタゾン併用療法はハイリスク患者を含む全ての患者に対して高い奏効率を示しました。”
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