・20~79歳の切除不能再発胆道がんの日本人患者が対象の第1相試験
・オプジーボ単剤療法とオプジーボ+化学療法の有用性を検証し、ともに忍容性に問題はなかった
・全生存期間の中央値は単剤群で5.2ヶ月、併用群で15.4ヶ月だった
2019年5月17日、医学誌『The Lancet Gastroenterology & Hepatology』にて切除不能再発胆道がん日本人患者に対する抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)単剤療法、オプジーボ+シスプラチン+ゲムシタビン併用療法の安全性、有効性を検証した第1相試験(JapicCTI-153098)の結果が神奈川県立がんセンターの上野誠氏らにより公表された。
本試験は、20~79歳の切除不能再発胆道がん日本人患者(N=30人)に対して2週を1サイクルとしてオプジーボ240mg単剤療法を投与する群、またはオプジーボ240mg+シスプラチン25mg/m2+ゲムシタビン1000mg/m2併用療法を投与する群を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、忍容性などを検証した多施設共同非盲検試験である。
本試験が実施された背景として、切除不能再発胆道がん日本人患者に対する免疫チェックポイント阻害薬の単剤療法、併用療法の忍容性、安全性を検証するためである。以上の背景より、切除不能再発胆道がん患者に対するオプジーボ単剤、オプジーボ+化学療法の有用性が検証された。
本試験の結果、主要評価項目である忍容性は下記の通りである。オプジーボ単剤群にて最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は食欲減退17%(N=5人)、倦怠感13%(N=4人)、そう痒13%(N=4人)。グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は発疹10%(N=3人)、黄斑疹10%(N=3人)、アミラーゼ増加10%(N=3人)。重篤な有害事象(SAE)は胸膜炎3%(N=1人)であった。
また、オプジーボ+化学療法群にて最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は好中球数減少83%(N=25人)、血小板数減少83%(N=25人)。グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は好中球数減少77%(N=23人)、血小板数減少50%(N=15人)。重篤な有害事象(SAE)は血小板数減少3人、発熱性好中球減少症2人、好中球数減少1人、貧血1人、アナフィラキシー反応1人、食欲減退1人、発熱1人、心筋炎1人であった。
一方の有効性として、オプジーボ単剤群における全生存期間(OS)中央値は5.2ヶ月(95%信頼区間:4.5-8.7ヶ月)、無増悪生存期間(PFS)中央値は1.4ヶ月(95%信頼区間:1.4-1.4ヶ月)、客観的奏効率(ORR)は1/30人を示した。
オプジーボ+化学療法群における全生存期間(OS)中央値は15.4ヶ月(95%信頼区間:11.8ヶ月-未到達)、無増悪生存期間(PFS)中央値は4.2ヶ月(95%信頼区間:2.8-5.6ヶ月)、客観的奏効率(ORR)は11/30人を示した。
以上の第1相試験の結果より上野誠氏らは以下のように結論を述べている。”切除不能再発胆道がん日本人患者に対する抗PD-1抗体薬であるオプジーボ単剤療法、化学療法併用療法は、忍容性に問題ありませんでした。今後は大規模試験により切除不能再発胆道がん患者に対するオプジーボの有効性、安全性を検証していく必要があります。”
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