5月29日、厚生労働省 中央社会保険医療協議会は、非小細胞肺がん患者のEGFR、ALK、ROS1、BRAF遺伝子検査として次世代シークエンサーを用いるコンパニオン診断システム「オンコマイン Dx Target Test CDxシステム(以下、オンコマイン)」の保険適応を了承した。なお、価格は11,700点(11万7千円)となる。
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オンコマインにて、非小細胞肺がんのEGFR、ALK、ROS1のコンパニオン診断可能に
オンコマインは国内初の次世代シーケンシング技術を用いたコンパニオン診断システムとして、2018年4月4日に製造販売承認を取得し、2018年12月1日の保険収載を経て、2018年12月3日より販売を開始している。
しかしながら、オンコマインは非小細胞肺がんのBRAF遺伝子変異(V600E)を検出し、ダブラフェニブ(商品名タフィンラー)とトラメチニブ(商品名メキニスト)の併用投与に対する適応判定の補助に用いられているのみであった。
今回の保険適応によって、オンコマインはBRAF遺伝子変異(V600E)に加え、EGFRエクソン19欠失変異およびEGFRエクソン21 L858R変異、ALK融合遺伝子、ROS1融合遺伝子の検出が可能となり、8種類の分子標的薬における治療適応の判定を補助することができるようになった。
このことは、それぞれ別に検査を行っていた遺伝子変異検査が一度にできるようになり、患者負担や治療決定までの短縮化が期待できる。
コンパニオン診断薬(コンパニオン診断システム)
コンパニオン診断薬(コンパニオン診断システム)とは「治療法の効果や副作用を投薬前に予測するために行なわれる検査のこと」である。
例えば、今回のケースではオンコマインにてBRAF遺伝子変異が検出された方がタフィンラーとメキニストを非小細胞肺がんで使用できたが、「EGFR遺伝子変異が検出された方はイレッサなどが使用可能に、ALK遺伝子変異が検出された方はアレセンサなどが使用可能に、ROS1遺伝子変異が検出された方にはザーコリが使用可能になった」ということである。
なお、コンパニオン診断薬は単なる検査薬のことを指すが、次世代シークエンサーのように検査を解析して結果を出す必要がある場合は、その一連のシステムをコンパニオン診断システムと呼ぶ。
オンコマインのコンパニオン診断としての適応範囲
EGFRエクソン19欠失変異およびEGFRエクソン21 L858R変異
ゲフィチニブ(商品名イレッサ)
アファチニブ(商品名ジオトリフ)
エルロチニブ(商品名タルセバ)
オシメルチニブメシル(商品名タグリッソ)
※ダコミチニブ(商品名ビジンプロ)は現時点で含まれておらず。
ALK融合遺伝子
クリゾチニブ(商品名ザーコリ)
アレクチニブ(商品名アレセンサ)
※セリチニブ(商品名ジカディア)は現時点で含まれておらず。
ROS1融合遺伝子
クリゾチニブ(商品名ザーコリ)
BRAF V600E変異
ダブラフェニブ(商品名タフィンラー)とトラメチニブ(商品名メキニスト)併用療法
がんゲノム医療 ~現在、未来、その先へ~
(文:可知 健太)
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