・未治療の進行性消化管間質腫瘍(GIST)患者が対象の第2相試験
・一次治療としてのイマチニブ+ビニメチニブ併用療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率は69.0%、無増悪生存期間中央値は29.9ヶ月であった
2022年1月18日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて未治療の進行性消化管間質腫瘍(GIST)患者に対する一次治療としてチロシンキナーゼ阻害薬であるイマチニブ+MEK阻害薬であるビニメチニブ併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT01991379)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのPing Chi氏らにより公表された。
本試験は、未治療の進行性消化管間質腫瘍(GIST)患者に対して28日を1サイクルとして1日1回イマチニブ400mg+1日2回ビニメチニブ30mg併用療法を実施し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR:定義は部分奏効、完全奏効であり、イマチニブ単剤療法よりも奏効率を20%増加した値として許容できない基準値は45%、許容できる基準値は65%)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性などを検証した第2相試験である。
本試験が開始された背景として、前臨床試験にてMEKおよびKIT阻害薬による併用療法は相乗的な抗腫瘍効果が確認されている。以上の背景より、未治療の進行性消化管間質腫瘍(GIST)患者に対するチロシンキナーゼ阻害薬イマチニブ+MEK阻害薬ビニメチニブ併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に参加した42人の患者のうち有効性評価されたのは29人。結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は69.0%(95%信頼区間:52.9-82.4%)を示した。副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は29.9ヶ月(95%信頼区間:24.2ヶ月-未到達)、全生存期間(OS)中央値は未到達(95%信頼区間:50.4ヶ月-未到達)であった。
一方の安全性として、既存の臨床試験で確認されている安全性プロファイルと一致しており、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなかった。グレード3もしくは4の有害事象(AE)は、無症候性クレアチンホスホキナーゼ上昇が79.1%、低リン血症が14.0%、好中球数減少が9.3%、斑状丘疹状発疹が7.0%、貧血が7.0%であった。
以上の第2相試験の結果よりPing Chi氏らは「未治療の進行性消化管間質腫瘍(GIST)患者に対するチロシンキナーゼ阻害薬イマチニブ+MEK阻害薬ビニメチニブ併用療法は、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)を達成し、有害事象(AE)も管理可能な内容でした。今後イマチニブと直接比較を行いさらなる評価を行う価値がある」と結論を述べている。
この記事に利益相反はありません。