・シスプラチンベース治療不適格の転移性尿路上皮がん患者が対象の第2相試験
・ゲムシタビン+ハラヴェン併用療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率は50%、全生存期間中央値は11.9ヶ月、無増悪生存期間中央値は5.3ヶ月だった
2019年8月7日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてシスプラチンベース治療不適格の転移性尿路上皮がん患者に対するゲムシタビン+エリブリン(商品名ハラヴェン;以下ハラヴェン)併用療法の有効性、安全性を検証する第2相試験(NCT02178241)の結果がKeck School of Medicine of USCのSarmad Sadeghi氏らにより公表された。
本試験は、シスプラチンベース治療不適格(クレアチニンクリアランス60ml/分未満、グレード2の神経障害、グレードの2難聴を有する患者として定義)の転移性尿路上皮がん患者(N=26人)に対して21日を1サイクルとして1、8日目にゲムシタビン1000mg/m2+ハラヴェン1.4mg/m2併用療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した2相試験である。
本試験が実施された背景として、シスプラチンベース治療不適格の転移性尿路上皮がん患者に対する標準治療としてはゲムシタビン+カルボプラチン併用療法、免疫チェックポイント阻害薬である。しかしながら、PD-L1発現率の低い転移性尿路上皮がん患者に対するファーストライン治療としての免疫チェックポイント阻害薬の使用をFDAは反対している。以上の背景より、シスプラチンベース治療不適格の転移性尿路上皮がん患者に対するゲムシタビン+ハラヴェン併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである
年齢中央値
73歳(62-88歳)
70歳未満=46%
70歳以上=54%
性別
男性=17%
女性=83%
人種
白人=92%
ヒスパニック系=4%
アジア人=4%
進行病期
局所進行性=21%
転移性=79%
Performance Status
スコア0=46%
スコア1=46%
スコア2=8%
ベースライン時点のeGFR値
60ml/分以上=25%
60ml/分未満=75%
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は50%(90%信頼区間:31%-69%)、奏効の内訳としては完全奏効(CR)4%、部分奏効(PR)46%を示した。副次評価項目である全生存期間(OS)中央値は11.9ヶ月(95%信頼区間:5.6-20.4ヶ月)、無増悪生存期間(PFS)中央値は5.3ヶ月(95%信頼区間:1.3-16.8ヶ月)を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は疲労83%、好中球減少症79%、貧血63%、脱毛症50%、AST上昇50%、便秘42%、悪心42%、血小板減少42%を示した。また、最も多くの患者で確認されたグレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症63%、貧血29%、疲労29%を示した。
以上の第2相試験の結果よりSarmad Sadeghi氏らは以下のように結論を述べている。”シスプラチンベース治療不適格の転移性尿路上皮がん患者に対するゲムシタビン+ハラヴェン併用療法は、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)をはじめ無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を改善しました。”
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