・ミスマッチ修復機構欠損を有する大腸がん以外の進行性固形がん患者が対象の第3相試験
・抗PD-1抗体薬オプジーボ単剤療法の有効性・安全性を比較検証
・客観的奏効率は36%で、臨床的意義のある抗腫瘍効果を示した
2019年11月25日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてミスマッチ修復機構の欠損 (deficient mismatch repair: dMMR) を有する大腸がん以外の進行性固形がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第2相のNCI-MATCH(EAY131)試験の結果がJohns Hopkins Medicine Sidney Kimmel Comprehensive Cancer CenterのNilofer S. Azad氏らにより公表された。
本試験は、ミスマッチ修復機構の欠損を有する大腸がん以外の進行性固形がん患者に対して2週を1サイクルとしてオプジーボ3mg/kg単剤療法を4サイクル投与後、4週を1サイクルとしてオプジーボ480mg単剤療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)を検証した第2相試験である。
本試験が開始された背景として、ミスマッチ修復機構の欠損を有する大腸がん以外の進行性固形がん患者に対するオプジーボ単剤療法の有用性を確認した臨床試験が少ないためである。以上の背景より、本試験が開始された。
本試験に登録された42人の患者背景は下記の通りである。固形がんの種類は子宮内膜腺がん13人、前立腺がん5人、子宮がん肉腫4人、食道/食道胃接合部がん3人、胆管がん3人、乳管がん3人、膵神経内分泌がん1人。
性別は男性67%、女性33%。年齢中央値は60歳(44‐85歳)。人種は白人83%、黒人10%、アジア人5%、ヒスパニック系5%。全治療歴は1レジメン24%、2レジメン19%、3レジメン10%、4レジメン以上45%。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は36%(90%信頼区間:23.5%‐49.5%)、完全奏効率(CR)7%(N=3人)、部分奏効率(PR)29%(N=13人)、病勢安定率(SD)21%(N=9人)。
6ヵ月無増悪生存率(PFS)、12ヵ月無増悪生存率(PFS)、18ヵ月無増悪生存率(PFS)はそれぞれ51.3%(90%信頼区間:38.2%‐64.5%)、46.2%(90%信頼区間:33.1%‐59.3%)、31.4%(90%信頼区間:18.7%‐44.2%)を示した。全生存期間(OS)中央値は17.3ヵ月を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード1~3の治療関連有害事象(TRAE)は疲労40%、貧血33%、皮膚障害17%、低アルブミン血症17%。なお、グレード5の治療関連有害事象(TRAE)を発症した患者は1人も確認されなかった。
以上のNCI-MATCH(EAY131)試験の結果よりNilofer S. Azad氏らは以下のように結論を述べている。”ミスマッチ修復機構の欠損を有する大腸がん以外の進行性固形がん患者に対する抗PD-1抗体薬オプジーボ単剤療法は臨床的意義のある抗腫瘍効果を示し、重篤な有害事象(SAE)も発症しませんでした。”
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