・ハイリスク骨髄異形成症候群または65歳以上の寛解導入療法不適格の急性骨髄性白血病患者が対象の第2相試験
・抗PD-L1抗体薬イミフィンジ+アザチジン併用療法の有効性・安全性を比較検証
・アザチジンへのイミフィンジの上乗せ効果は確認されなかったが、新たな安全性リスクも確認されなかった
2019年12月7日より10日まで米国フロリダ州オーランドで開催された第61回米国血液学会(ASH2019)にて、ハイリスク骨髄異形成症候群(MDS)、または65歳以上の寛解導入療法不適格の急性骨髄性白血病(AML)患者に対する抗PD-L1抗体薬であるデュルバルマブ(商品名イミフィンジ;以下イミフィンジ)+アザチジン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相試験(NCT02775903)の結果がYale University and Yale Cancer CenterのAmer M. Zeidan氏らにより公表された。
本試験は、ハイリスク骨髄異形成症候群(MDS;コーホート1,N=84人)、または65歳以上の寛解導入療法不適格の急性骨髄性白血病(AML;コーホート2,N=129人)患者に対して4週を1サイクルとして1日目にイミフィンジ1500mg+1~7日目にアザチジン75mg/m2併用療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与する群、または4週を1サイクルとして1~7日目にアザチジン75mg/m2単剤療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として客観的奏効率(ORR;コーホート1では完全寛解、骨髄寛解、部分寛解、血液学的改善を達成した患者数、コーホート2では完全寛解、不完全寛解を達成した患者数として定義)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性などを比較検証した第2相試験である。
主要評価項目であるコーホート1(MDS)における客観的奏効率(ORR)はイミフィンジ併用群61.9%(95%信頼区間:47.22%76.59%)に対してアザチジン単剤群47.6%(95%信頼区間:32.51%-62.72%)を示した。
また、コーホート2(AML)における客観的奏効率(ORR)はイミフィンジ併用群31.3%(95%信頼区間:19.89%-42.61%)に対してアザチジン単剤群35.4%(95%信頼区間:23.76%-47.01%)を示した。
副次評価項目であるコーホート1(MDS)における全生存期間(OS)中央値はイミフィンジ併用群11.6ヶ月に対してアザチジン単剤群16.7ヶ月、無増悪生存期間(PFS)中央値はイミフィンジ併用群8.7ヶ月に対してアザチジン単剤群8.6ヶ月を示した。
また、コーホート2(AML)における全生存期間(OS)中央値はイミフィンジ併用群13.0ヶ月に対してアザチジン単剤群14.4ヶ月、無増悪生存期間(PFS)中央値はイミフィンジ併用群8.1ヶ月に対してアザチジン単剤群7.2ヶ月を示した。
以上の第2相試験の結果よりAmer M. Zeidan氏らは以下のように結論を述べている。”本試験は、ハイリスク骨髄異形成症候群(MDS)、または65歳以上の寛解導入療法不適格の急性骨髄性白血病(AML)患者に対する抗PD-L1抗体薬の有用性を検証した最初の大規模試験になります。残念ながら、本患者に対してアザチジンへの抗PD-L1抗体薬イミフィンジの上乗せ効果は確認されませんでしたが、併用による新たな安全性リスクは確認されませんでした。”
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