・再発難治性急性骨髄性白血病小児患者が対象の第1相試験
・ベネクレクスタ+シタラビン±イダルビシン併用療法の有効性・安全性を検証
・副次評価項目である客観的奏効率は69%を示した
2020年3月11日、医学誌『The Lancet Oncology』にて再発難治性急性骨髄性白血病(AML)小児患者に対する経口BCL-2阻害薬ベネトクラクス(商品名:ベネクレクスタ、以下ベネクレクスタ)+シタラビン±イダルビシン併用療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT03194932)の結果がSt Jude Children’s Research HospitalのSeth E Karol氏らにより公表された。
本試験は、再発難治性急性骨髄性白血病(AML)小児患者(N=38人)に対して28日を1サイクルとして1日1回ベネクレクスタ240~360mg/m2+シタラビン100~1000mg/m2+イダルビシン12mg/m2併用療法を投与する群、または28日を1サイクルとして1日1回ベネクレクスタ240~360mg/m2+シタラビン併用療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として第2相試験推奨用量(RPIID)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを検証した第1相試験である。
本試験が開始された背景として、再発難治性急性骨髄性白血病(AML)に罹患する小児の予後は依然として不良である。経口BCL-2阻害薬であるベネクレクスタは、化学療法不適格の急性骨髄性白血病(AML)高齢患者に対して有用である可能性が示唆されている。以上の背景より、本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値7.1ヶ月(5.1‐11.2ヶ月)時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である第2相試験推奨用量(RPIID)はベネクレクスタ360mg/m2+シタラビン1000mg/m2±イダルビシン12mg/m2として決定された。副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は69%(N=24/35人)を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3~4の有害事象(AE)は発熱性好中球減少症(FN)66%(N=22人)、血流感染16%(N=6人)、侵襲性真菌感染症16%(N=6人)。また、治療関連有害事象(TRAE)による死亡は1人の患者で確認され、その原因は大腸炎、敗血症であった。
以上の第1相試験の結果よりSeth E Karol氏らは以下のように結論を述べている。”再発難治性急性骨髄性白血病(AML)小児患者に対するベネクレクスタ+シタラビン±イダルビシン併用療法は忍容性も問題なく、抗腫瘍効果は良好でした。本試験では複数治療歴のある患者に対して有用性を検証しましたが、治療歴のない新規患者に対して本治療の有用性を検証することが推奨されます。”
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