・治療歴のあるホルモン受容体陽性HER2陰性局所進行性/転移性乳がん患者が対象の第1b相試験
・ベージニオ+キイトルーダ併用療法の安全性・有効性を検証
・ベージニオ単剤療法と比較して新たな有害事象はなく、客観的奏効率は29%であった
2020年5月29日~31日、バーチャルミーティングで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2020)にて治療歴のあるホルモン受容体陽性HER2陰性局所進行性/転移性乳がん患者に対するCDK4/CDK6阻害薬であるアベマシクリブ(商品名ベージニオ;以下ベージニオ)+抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)併用療法の安全性、有効性を検証した第1b相試験(NCT02779751)の中間解析の結果がUniversity of California San Francisco Helen Diller Family Comprehensive Cancer CenterのHope S. Rugo氏らにより公表された。
本試験は、治療歴のあるホルモン受容体陽性HER2陰性局所進行性/転移性乳がん患者(N=28人)に対し21日を1サイクルとして1日2回ベージニオ150mg+キイトルーダ200mg併用療法を投与し、主要評価項目として安全性、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した多施設共同非盲検下第1b相試験である。
ホルモン受容体陽性HER2陰性局所進行性/転移性乳がん患者に対してCDK4/CDK6阻害薬ベージニオ単剤療法、もしくはアロマターゼ阻害薬またはフルベストラント(商品名フェソロデックス)との併用療法は抗腫瘍効果が確認されている。また、基礎試験にてCDK4/CDK6阻害薬ベージニオ、抗PD-1抗体薬キイトルーダは相乗的なマウスモデルにおいて抗腫瘍効果が確認された。以上の背景より本試験が開始された。
本試験の結果、主要評価項目である安全性を示すグレード3~4の有害事象(AE)発症率は好中球減少症29%(N=8人)、AST増加18%(N=5人)、下痢11%(N=3人)、ALT増加11%(N=3人)を示した。また、既存の臨床試験で確認されているベージニオの安全性プロファイルと一致しており、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなかった。
副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は29%、病勢コントロール率(DCR)は82%を示した。また、無増悪生存期間(PFS)中央値は8.9ヶ月(95%信頼区間:3.9-11.1ヶ月)、全生存期間(OS)中央値は26.3ヶ月(95%信頼区間:20.0-31.0ヶ月)を示した。
以上の結果よりHope S. Rugo氏らは「治療歴のあるホルモン受容体陽性HER2陰性局所進行性/転移性乳がん患者に対するCDK4/CDK6阻害薬ベージニオ+抗PD-1抗体薬キイトルーダ併用療法は、過去のベージニオ単剤療法の臨床データに比べて客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)は良好であるものの、明らかな違いは本試験で確認されませんでした」と結論を述べている。
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