2020年6月23日、医学誌『The Lancet Oncology』にて進行性胃がん患者に対するファーストライン治療として、抗PD-1抗体であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;キイトルーダ)とマルチキナーゼ阻害薬であるレンバチニブ(商品名レンビマ;以下レンビマ)の併用療法の有効性と安全性を検証した第2相試験であるEPOC1706試験(NCT03609359)の結果が国立がん研究センター東病院の川添彬人氏らにより公表された。
本試験は、進行性胃がん患者(N=29人)にファーストラインとして3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg+1日1回レンビマ20mg併用療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として有害事象(AE)発症率、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した第2相試験である。
進行性胃がん患者に対する抗PD-1抗体キイトルーダの抗腫瘍効果は15%前後である。基礎試験の結果、マルチキナーゼ阻害薬レンビマは抗PD-1抗体併用により相乗的な抗腫瘍効果が確認されている。以上の背景より、進行性胃がん患者に対するファーストライン治療としてのキイトルーダ+レンビマ併用療法の有用性を検証するため本試験が行われた。
本試験のフォローアップ期間中央値12.6ヵ月時点において主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は69%(95%信頼区間:49%-85%)を示した。
安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3の治療関連有害事象(TRAE)は高血圧38%、タンパク尿17%、血小板数減少7%であった。なお、グレード4の治療関連有害事象(TRAE)、重大な治療関連有害事象(STRAE)、治療関連死亡は1人の患者も確認されていない。
以上の第2相試験の結果より国立がん研究センター東病院の川添彬人氏らは「進行性胃がん患者に対するファーストラインとしてのキイトルーダ+レンビマ併用療法は、十分な抗腫瘍効果を示し、忍容性も問題ありませんでした」と結論を述べている。
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