・ワルデンシュトレームマクログロブリン血症患者が対象の第3相試験
・zanubrutinib単剤療法の有効性・安全性をイムブルビカ単剤療法と比較検証
・完全寛解率+最良部分奏効率はイムブルビカ19.2%に対してzanubrutinib28.4%で統計学的有意差は示さず
2020年6月11日~14日、バーチャルミーティングで開催された第25回欧州血液学会議(EHA 2020)にてワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)患者に対するブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤であるzanubrutinib(BGB-3111)単剤療法、イブルチニブ(商品名イムブルビカ;イムブルビカ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のASPEN試験(NCT03053440)の結果がNational & Kapodistrian University of AthensのMeletios Dimopoulos氏らにより公表された。
ASPEN試験とは、MYD88変異のあるワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)患者(N=201人)に対して1日2回zanubrutinib(BGB-3111)160mg単剤療法を投与する群と1日1回イムブルビカ420mg単剤療法を投与する群を1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として完全寛解率(CR)+最良部分奏効率(VGPR)の割合を比較検証した第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値19.4ヶ月時点における結果、主要評価項目である完全寛解率(CR)+最良部分奏効率(VGPR)の割合はzanubrutinib(BGB-3111)群28.4%に対してイムブルビカ群19.2%(P=0.09)であり統計学的には有意差を示さなかった。
安全性として、zanubrutinib(BGB-3111)に比べてイムブルビカ群で高率に発現した有害事象(AE)は心房細動、挫傷、下痢、出血、高血圧、筋痙攣、末梢浮腫、肺炎。イムブルビカ群に比べてzanubrutinib(BGB-3111)で高率に発現した有害事象(AE)は好中球減少症であった。
以上のASPEN試験の結果よりMeletios Dimopoulos氏らは「本試験は、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)患者に対するブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤の直接比較を実施した初の第3相試験です。主要評価項目である完全寛解率(CR)+最良部分奏効率(VGPR)の割合において両群間で統計学的有意な差は確認されませんでしたが、イムブルビカに比べてzanubrutinib(BGB-3111)は抗腫瘍効果、忍容性ともに良好でした」と結論を述べている。
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