・ハイリスク未治療慢性リンパ性白血病患者が対象の第2相試験
・ガザイバ+イムブルビカ+ベネクレクスタ併用療法の有効性・安全性を比較検証
・全患者における完全寛解率は58.5%を示した
2020年6月11日~14日、バーチャルミーティングで開催された第25回欧州血液学会議(EHA 2020)にてハイリスク未治療慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対する抗CD20モノクローナル抗体であるオビヌツズマブ(商品名ガザイバ;以下ガザイバ)+BTK阻害薬であるイブルチニブ(商品名イムブルビカ;以下イムブルビカ)+BCL-2阻害薬であるベネトクラクス(商品名:ベネクレクスタ;以下ベネクレクスタ)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のCLL2-GiVe試験(NCT02758665)の結果がUlm UniversityのHenriette Huber氏らにより公表された。
本試験は、ハイリスクと定義される17p欠失/TP53異常のある未治療慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対して、ファーストラインとして、ガザイバ+イムブルビカ+ベネクレクスタ併用療法を28日1サイクルとし6か月間投与し、主要評価項目として完全寛解率(CR)を検証した試験である。
近年、BTK阻害薬イムブルビカ、BCL-2阻害薬ベネクレクス等の新薬の登場により慢性リンパ性白血病(CLL)の予後は改善したが、17p欠失/TP53異常のあるハイリスク慢性リンパ性白血病(CLL)の予後は依然として不良である。以上の背景より、抗CD20モノクローナル抗体ガザイバを加えたトリプレット療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された41人の患者の性別による内訳は男性24人、女性17人。年齢中央値は62歳(35-85歳)。Binet分類による病期はステージB/Cが78.0%。遺伝子異常の種類は17p欠失26人、TP53異常39人。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である完全寛解率(CR)58.5%(N=24人,95%信頼区間:42.1%-73.7%, p<0.001)を示した。また、微小残存病変(MRD)陰性率80.5%(N=33人)を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認された全グレードの有害事象(AE)発症率は消化器異常82.9%、感染症70.7%、血液/リンパ系障害58.5%、好中球減少症48.8%、血小板減少症19.5%、心房細動12.2%を示した。また、グレード3〜5の有害事象(AE)発症率は感染症19.5%、血液/リンパ系障害53.7%、好中球減少症43.9%、血小板減少症14.6%、心房細動2.4%を示した。
以上の第2相試験の結果よりHenriette Huber氏らは「ハイリスク未治療慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対するファーストライン治療としての抗CD20モノクローナル抗体ガザイバ+BTK阻害薬イムブルビカ+BCL-2阻害薬ベネクレクスタ併用療法は、有望な抗腫瘍効果を示し、本疾患の新しい治療選択肢になり得る可能性が示唆されました」と結論を述べている。
この記事に利益相反はありません。