・治療歴のあるHER2陰性ホルモン受容体陽性転移性乳がん患者が対象の第1/2相試験
・サシツズマブ ゴビテカン単剤療法の有効性・安全性を比較検証
・客観的奏効率は31.5%、奏効持続期間は8.7ヶ月を示した
2020年9月14日、医学誌『Annals of Oncology』にて治療歴のあるHER2陰性ホルモン受容体陽性転移性乳がん患者に対する抗TROP2抗体薬物複合体であるサシツズマブ ゴビテカン単剤療法の有効性、安全性を検証した第1/2相のIMMU-132試験(NCT01631552)の結果がHerbert Irving Comprehensive Cancer CenterのKevin Kalinsky氏らにより公表された。
本試験は、治療歴のあるHER2陰性ホルモン受容体陽性転移性乳がん患者(N=54人)に対してサシツズマブ ゴビテカン10mg/kg単剤療法を投与し、主要評価項目として安全性、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS) 、全生存期間(OS)などを検証した第1/2相試験である。
本試験に登録された34人の患者の年齢中央値は54歳(33−79歳)。前治療歴は少なくとも2レジメン。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症50.0%、貧血11.1%、下痢7.4%を示した。なお、2人の患者が治療関連有害事象(TRAE)により治療中止に至るも、治療関連有害事象(TRAE)による死亡は1人も確認されなかった。
フォローアップ期間中央値11.5ヶ月時点における客観的奏効率(ORR)は31.5%(95%信頼区間19.5%–45.6%、N=17人)。奏効持続期間(DOR)中央値は8.7ヶ月(95%信頼区間:3.7–12.7ヶ月)。無増悪生存期間(PFS) 中央値は5.5ヶ月(95%信頼区間:3.6–7.6ヶ月)。全生存期間(OS)中央値は12ヶ月(95%信頼区間:9.0–18.2ヶ月)。
以上のIMMU-132試験の結果よりKevin Kalinsky氏らは「治療歴のあるHER2陰性ホルモン受容体陽性転移性乳がん患者に対する抗Trop2抗体薬サシツズマブ ゴビテカン単剤療法は忍容性も問題なく、抗腫瘍効果も良好でした。本治療は現在進行中の第3相のTROPiCS-02試験(NCT03901339)によりさらに有用性を検証していきます」と結論を述べている。
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