・未治療HER2陰性切除不能進行/再発胃がん患者が対象の第2/3相試験
・オプジーボ+化学療法の有効性・安全性を比較検証
・オプジーボ+化学療法群の無増悪生存期間10.5ヶ月、全生存期間17.5ヶ月でいずれも有意に改善
2020年9月19日~2020年9月21日、バーチャルミーティングにて開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)にて未治療のHER2陰性切除不能進行/再発胃がん(食道胃接合部がんを含む)患者に対するファーストラインとしての抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)+化学療法の有効性、安全性を比較検証した第2/3相のATTRACTION-4/ONO-4538-37試験(NCT02746796)の第3相試験の結果がNational Cancer Center HospitalのNarikazu Boku氏らにより公表された。
ATTRACTION-4/ONO-4538-37試験とは、未治療のHER2陰性切除不能進行/再発胃がん(食道胃接合部がんを含む)患者(N=724人)をファーストラインとして3週ごとにオプジーボ360mg+化学療法(オキサリプラチン+S-1/カペシタビン)を投与する群(N=362人)、と3週ごとにプラセボ+化学療法(オキサリプラチン+S-1/カペシタビン)を投与する群(N=362人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として独立画像判定委員会の評価に基づく無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)を比較検証した多施設共同無作為化第2/3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値11.6ヶ月時点の中間解析における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はオプジーボ+化学療法群10.5ヶ月に対してプラセボ+化学療法群8.3ヶ月、オプジーボ+化学療法群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを32%(HR:0.68、98.51%信頼区間:0.51-0.90、P=0.0007)統計学的有意に改善した。
また、フォローアップ期間中央値26.6ヶ月時点の最終解析の結果は下記の通りである。もう1つの主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はオプジーボ+化学療法群17.5ヶ月に対してプラセボ+化学療法群17.2ヶ月、オプジーボ+化学療法群で死亡(OS)のリスクを10%(HR:0.90、95%信頼区間:0.75-1.08、P=0.257)減少するも統計学的有意な差は確認されなかった。
副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はオプジーボ+化学療法群57.5%に対してプラセボ+化学療法群47.8%、オプジーボ+化学療法群で高率であった(P=0.0088)。一方の安全性として、グレード3~5の治療関連有害事象(TRAE)発症率はオプジーボ+化学療法群57.9%に対してプラセボ+化学療法群49.2%を示した。
以上のATTRACTION-4/ONO-4538-37試験の結果よりNarikazu Boku氏らは「未治療のHER2陰性切除不能進行/再発胃がん(食道胃接合部がんを含む)患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬オプジーボ+化学療法は無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)を統計学的有意に改善し、全生存期間(OS)は有意な改善は認めなかったものの本疾患の治療選択肢になり得る可能性が示唆されました」と結論を述べている。
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