11月27日、日本イーライリリー株式会社は、抗悪性腫瘍剤「サイラムザ(R)点滴静注液100mg、同点滴静注液500mg」(一般名ラムシルマブ[遺伝子組み換え]、以下、サイラムザ)について、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対する用法および用量の追加と、すべての適応に対する投与時間短縮に係る承認事項一部変更承認を取得したと発表した。
今回の用法および用量の追加承認は、国際共同第1b/3相試験であるRELAY試験から得られた有効性および安全性に基づくもの。同試験は、EGFR遺伝子エクソン19欠失またはエクソン21(L858R)点突然変異が認められる未治療の進行非小細胞肺がん患者を対象とし、サイラムザ+エルロチニブ併用療法およびサイラムザ+ゲフィチニブ併用療法の有効性および安全性を検討した。この承認により、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)阻害薬のサイラムザとEGFR阻害薬のエルロチニブまたはゲフェチニブとの併用が可能になった。
また、投与時間短縮の承認は、サイラムザにおける既承認のがん種等を対象に実施された国内外の臨床試験で得られた同剤の薬物動態および母集団薬物動態モデルを用いたモデリング&シミュレーションに基づいている。これまで60分かけて点滴静注していたが、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できるようになった。
近畿大学医学部内科学教室腫瘍内科部門の主任教授である中川和彦氏は、「EGFRの阻害に加え、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)のダブルブロックを可能とする新しい治療法の開発は、非小細胞肺がんの患者さんに長い間望まれていました。このたび、サイラムザがEGFR-TKI(エルロチニブまたはゲフィチニブ)と併用できる薬剤として承認されたと同時に、投与時間の短縮が可能になったことを大変うれしく思います」と述べている。
日本イーライリリーの研究開発・メディカルアフェアーズ統括本部オンコロジー領域の本部長である江夏総太郎氏は、今回の承認について次のように述べている。「サイラムザはこれまで切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの治療薬として承認を受け、肺がんの患者さんに届けられてきました。このたび、非小細胞肺がんへの適応拡大の承認を受け、より多くの非小細胞肺がんとともに生きる患者さんに、サイラムザを新たに提供できるようになったことを大変誇りに思います。日本イーライリリーは引き続き、がんと共に生きる患者さんのお役に立てるよう適正使用の推進に注力してまいります」
血管新生阻害剤であるサイラムザは、がんの増殖や転移に関わる血管新生で重要な働きを示すVEGFR2に対するヒト型モノクローナル抗体。VEGFR2に特異的に結合することで、VEGF受容体リガンドであるVEGF-A、VEGF-CおよびVEGF-Dの結合に競合し、VEGF受容体2の活性化を阻害する。同剤は、大規模な国際共同開発が行われており、世界中で100以上の試験に15,000人以上の患者が参加している。
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