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ザーコリ®の新適応症追加を申請 ~本邦初、希少肺がんでは2つ目の申請~ 「ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」

  • [公開日]2016.09.02
  • [最終更新日]2017.06.30

8月31日、ファイザー株式会社は「ROS1 融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(以下、非小細胞肺がんを「NSCLC」と略記)」の治療薬として、ザーコリ®(一般名:クリゾチニブ)の承認事項一部変更承認申請を行った。
本剤は日本において、「ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を対象として、2016年8月に希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定された。

取締役 医薬開発部門長のマリエピエール・ガスティノーは次のように述べた。
「本日、ALK融合遺伝子に続き、ROS1融合遺伝子を対象にザーコリの適応症拡大を申請したことは、日本におけるバイオマーカーに基づく個別化治療をさらに進展させる重要なステップと考えております。また、治療選択肢が非常に限られている、希少肺がん患者さんが抱えるアンメットメディカルニーズ解消へのさらなる挑戦でもあります。弊社は今後も、日本のがん患者さんに革新的な薬剤をいち早くお届けできるよう、鋭意開発に取り組んでまいります」

目次

希少肺がん・ROS1融合遺伝子陽性NSCLCとは

ROS1遺伝子と別の遺伝子が融合しROS1再構成が生じると、各遺伝子の機能が正常に働かずがん細胞の成長を促進する可能性があり、疫学データから、ROS1の再構成は、NSCLCのおよそ1%に生じることが示唆されている。世界では毎年150万人が新たにNSCLCの診断を受けることから*1、そのうちのおよそ15,000症例はROS1遺伝子の再構成によって生じた希少肺がんである可能性がある。日本においては、肺がんの総患者数が13.8万人であることから*2、推定患者数は1,400名程度と考えられている。

ROS1融合遺伝子陽性進行NSCLCを対象としたザーコリ開発の経緯

ザーコリは、ファイザー社が開発した分子標的薬である。ROS1阻害作用も有しており、ROS1融合蛋白のチロシンキナーゼ活性を阻害することで、腫瘍細胞の成長と生存に必要な細胞内のシグナル伝達を遮断する作用機序をもっている。
ROS1融合遺伝子陽性NSCLCを対象とした、海外第Ⅰ相試験並びに日本を含むアジア共同第Ⅱ相試験においてザーコリの有効性安全性を評価し、その結果を取りまとめ、今回の申請に至った。

海外におけるROS1融合遺伝子陽性NSCLCを対象とした承認状況

米国においてザーコリは、2015年4月、米国食品医薬品局(FDA)によりブレークスルー・セラピー(画期的治療薬)の指定を受け、同年12月に申請が受理され、さらに優先審査対象品目に指定された。2016年3月に、「ROS1陽性の転移性NSCLC」の適応症が世界で初めて、かつ唯一追加されている。欧州医薬品庁(EMA)でも現在、ザーコリの適応症の一つとして「ROS1陽性進行NSCLCの成人患者」に拡大するため、承認申請を審査中である。

ザーコリのその他の適応症について

日本においてザーコリは、「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の適応症で2012年3月に承認を取得している。
米国では、「FDAが承認した検査法でALK陽性と診断された局所進行または転移性NSCLC」を適応症として2011年8月に、また、欧州では、「前治療歴を有さないまたは治療歴を有するALK陽性進行NSCLC成人患者」を適応症として2012年10月に、それぞれ承認を取得している。
ザーコリは世界初のALK阻害剤であり、これまでに世界で25,000名以上、日本において3,000名近い患者さんの治療に使用されている。

<出典>
*1)アメリカ癌学会「Detailed Guide」:What is Lung Cancer – Non-Small Cell?
  世界保健機関「GLOBOCAN 2012」: Estimated Cancer Incidence, Mortality and Prevalence Worldwide in 2012.

*2)厚生労働省「平成23年患者調査の概況」

ファイザー株式会社のプレスリリースはこちら

記事:下川床 和真

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