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ROS1/TRK阻害剤ロズリートレク、NTRK融合遺伝子陽性進行・再発の固形がんの適応で製造販売承認を取得

  • [公開日]2019.06.18
  • [最終更新日]2019.06.18

2019年6月18日、中外製薬株式会社は、先駆け審査指定制度対象品目、希少疾病用医薬品の指定を受けていた、ROS1/TRK阻害剤エヌトレクチニブ(商品名:ロズリートレクカプセル100 mg、同200 mg」(以下、ロズリートレク)について、「NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がん」を効能・効果とした製造販売承認を厚生労働省より取得した。

今回の承認は、主にオープンラベル多施設国際共同第2相臨床試験(STARTRK-2試験)の成績に基づいている。有効性評価は、NTRK融合遺伝子陽性の固形がんの成人患者さん51名を対象として実施した。また、小児の有効性評価は海外第1/1b相臨床試験(STARTRK-NG試験)に登録されたNTRK融合遺伝子陽性の固形がんの患児5名で実施した。一方、安全性評価はSTARTRK-2試験に加え、2つの海外第1相臨床試験(STARTRK-1試験およびALKA試験)の3つの試験に登録された339名を中心に実施された。

有効性評価
・STARTRK-2試験において、RECIST ver.1.1に基づく独立評価委員判定による奏効率は56.9%(95%CI: 42.3~70.7%)であった。
・STARTRK-NG試験において、RECIST ver.1.1およびRANO規準に基づく主治医判定では、5例中4例に奏効が認められた。

安全性の概要
・最も一般的な有害事象は、疲労、便秘、味覚異常、浮腫、めまい、下痢、吐き気、知覚異常、呼吸困難、痛み、貧血、認知障害、体重増加、嘔吐、咳、血中クレアチニン増加、関節痛、発熱、および筋肉痛であった。

ロズリートレクについて
ロズリートレクは、ROS1(c-rosがん遺伝子1)およびTRK(神経栄養因子受容体)ファミリーを強力かつ選択的に阻害する経口投与可能なチロシンキナーゼ阻害剤であり、脳転移巣への作用も期待されている。ロズリートレクは、ROS1およびTRKキナーゼ活性を阻害することにより、ROS1またはNTRK融合遺伝子を有するがん細胞の増殖を抑制する。ロズリートレクは、前治療後に病勢進行した、または許容可能な標準治療がないNTRK融合遺伝子陽性の局所進行または遠隔転移を有する成人および小児の固形がんに対し、米国食品医薬品局(FDA)より画期的治療薬(Breakthrough Therapy)に、欧州医薬品庁(EMA)よりPRIME(PRIority MEdicines)に指定されている。なお、FDAはNTRK融合遺伝子陽性の固形がん、およびROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんへのロズリートレクの投与を、優先審査に指定している。また、国内では2019年3月にROS1融合遺伝子陽性の局所進行又は転移性非小細胞肺癌を対象とした承認申請を行っている。

NTRK融合遺伝子陽性がんについて
NTRK融合遺伝子とは、NTRK遺伝子(NTRK1、NTRK2、NTRK3、それぞれTRKA、TRKB、TRKCタンパク質をコードする)と他の遺伝子(ETV6、LMNA、TPM3など)とが染色体転座の結果、融合してできる異常な遺伝子1-3)。NTRK融合遺伝子から作られる融合TRKにより、がん細胞の増殖が促進されると考えられている。NTRK融合遺伝子の発生は非常に稀ではあるが、成人や小児の様々な固形がんや肉腫等[乳児型線維肉腫、神経膠腫、神経膠芽腫、びまん性橋グリオーマ、先天性中胚葉性腎腫、悪性黒色腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(IMT)、子宮肉腫、その他軟部腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、乳腺分泌がん、唾液腺分泌がん、原発不明がん、肺がん、大腸がん、虫垂がん、乳がん、胃がん、卵巣がん、甲状腺がん、胆管がん、膵臓がん、頭頸部がん、等]で確認されている。

出典
1.Martin-Zanca D, Hughes SH, Barbacid M. A human oncogene formed by the fusion of truncated tropomyosin and protein tyrosine kinase sequences. Nature 1986; 319(6056): 743-8.
2.Martin-Zanca D, Oskam R, Mitra G, Copeland T, Barbacid M. Molecular and iochemical Characterization of the Human trk Proto-Oncogene. Molecular and Cellular Biology 1989; 9(1): 24-33.
3.Lange AM, Lo HW. Inhibiting TRK Proteins in Clinical Cancer Therapy. Cancers 2018; 10: 105.

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