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テセントリク PD-L1陽性の手術不能・再発トリプルネガティブ乳がんへの適応拡大および840mg製剤の剤形追加

  • [公開日]2019.09.22
  • [最終更新日]2019.09.24

2019年9月20日、中外製薬株式会社(以下、中外製薬)は、改変型抗PD-L1モノクローナル抗体アテゾリズマブ(遺伝子組換え)(商品名:テセントリク®、以下テセントリク)に関し、「PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん」の適応拡大および840 mg製剤の剤形追加について、厚生労働省より承認を取得したことを発表した。

840 mg製剤については、今回承認を取得した乳がんにおける用法・用量が840 mgを2週間間隔での投与であるため、至適用量製剤として開発を行った。

PD-L1発現状況の確認は、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社の病理検査用キット「ベンタナ OptiView PD-L1(SP142)」によって行う。ベンタナ OptiView PD-L1 (SP142)は、テセントリクのPD-L1陽性の乳がんの適応判定を補助するコンパニオン診断として、2019年8月20日に適応拡大の承認を取得している。

今回の承認は、第III相臨床試験であるIMpassion130試験の成績に基づいている。IMpassion130試験では、テセントリクと化学療法パクリタキセル(アルブミン懸濁型)]の併用は、ITT(Intent to treat)解析集団およびPD-L1陽性集団において、化学療法[パクリタキセル(アルブミン懸濁型)]単独に比べ主要評価項目であるPFS無増悪生存期間)の延長を示した(ITT集団 PFS中央値:7.2カ月 vs 5.5カ月、ハザード比:0.80、95%信頼区間:0.69-0.92、p=0.0025)(PD-L1陽性集団 PFS中央値:7.5カ月 vs 5.0カ月、ハザード比:0.62、95%信頼区間:0.49-0.78、p<0.0001)。

もう一つの主要評価項目であるOS全生存期間)は、第2回中間解析時点では、ITT解析集団における全生存期間(OS)の延長について、統計学的な有意差は認められなかった[OS中央値:21.0カ月 vs 18.7カ月、ハザード比:0.86、95%信頼区間:0.72-1.02、p=0.078]。

一方、PD-L1発現が認められる患者において、臨床的に意義のあるOSの延長が認められたものの、階層構造に基づいて統計解析を行う試験デザインであることから、今回のPD-L1発現が認められる患者におけるOSの解析は検証的な位置づけではない[OS中央値:25.0カ月 vs 18.0カ月; ハザード比:0.71、95%信頼区間:0.54-0.93]。

一方フォローアップは次回の計画されている解析まで継続される。テセントリクと化学療法の併用療法による安全性プロファイルは、これまで各薬剤で認められている安全性プロファイルと一致しており、本併用療法で新たな安全性のシグナルは確認されなかった。

IMpassion130試験について
IMpassion130試験は、全身薬物療法を受けていない切除不能な局所進行または転移性TNBCの患者を対象に、テセントリクと化学療法[パクリタキセル(アルブミン懸濁型)]の併用と、化学療法[パクリタキセル(アルブミン懸濁型)]単独を比較し、有効性ならびに安全性、薬物動態を検討した多施設共同無作為化プラセボ対照の二重盲検国際共同臨床試験のことである。本試験の主要評価項目は主治医評価によるPFSとOSである。両主要評価項目はITT解析集団およびPD-L1の発現が認められる患者において評価されている。副次評価項目奏効率ならびに奏効期間、患者の全体的な健康状態/Health-Related QoLの悪化までの期間。

目次

添付文書情報

一般名
アテゾリズマブ(遺伝子組換え)

販売名
テセントリク®点滴静注840 mg
テセントリク®点滴静注1200 mg

効能・効果
<テセントリク点滴静注840 mgの場合>
PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん

<テセントリク点滴静注1200 mgの場合>
切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
進展型小細胞肺がん

用法・用量
・化学療法未治療の扁平上皮がんを除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者の場合
カルボプラチン、パクリタキセル及びベバシズマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはアテゾリズマブ(遺伝子組換え)として1回1200 mg を60分かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。

・化学療法既治療の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者の場合
通常、成人にはアテゾリズマブ(遺伝子組換え)として1回1200 mgを60分かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目 以降の投与時間は30分間まで短縮できる。

・進展型小細胞肺がん患者の場合
カルボプラチン及びエトポシドとの併用において、通常、成人にはアテゾリズマブ(遺伝子組換え)として1回1200 mgを60分かけて3週間間隔で点滴静注す る。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。

・PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん患者の場合
パクリタキセル(アルブミン懸濁型)との併用において、通常、成人にはアテゾリズマブ(遺伝子組換え)として1回840 mgを60分かけて2週間間隔で点滴静 注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。

薬価
テセントリク®点滴静注840 mg 薬価基準未収載
テセントリク®点滴静注1200 mg 625,567円/1バイアル

トリプルネガティブ乳がんについて

日本人女性における乳がんの年間罹患者数は86,500人(2018年予測値)、また死亡者数は14,800人(2018年予測値)と推計されている。トリプルネガティブ乳がんは、全乳がんの約15%を占め、他のタイプの乳がんに比べ、50歳未満の女性に多いことが特徴。トリプルネガティブ乳がんは、ホルモン受容体(エストロゲン受容体およびプロゲステロン受容体)の発現やヒト上皮成長因子受容体2(HER2)の過剰発現を伴わない悪性腫瘍と定義され、他のタイプの乳がんに比べ一般的に増殖能が高く、生存期間が短くなると言われている。

テセントリクの国内承認状況について

2018年4月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果として販売を開始し、同年12月に「化学療法未治療の扁平上皮がんを除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」、2019年8月に進展型小細胞肺がん」に対する効能・効果、用法・用量の追加について承認を取得している。

参照元:中外製薬株式会社ニュースリリース

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