・導入化学療法後の切除不能な局所進行性または転移性HER2陰性胃/胃食道接合部がん患者を対象とした第3相試験
・バベンチオ単剤療法の有効性・安全性を導入化学療法の継続投与と比較検証
・臨床的意義のある抗腫瘍効果を示したが、主要評価項目である全生存期間を達成できず
2020年1月23日(木)~25日(土)に米国・サンフランシスコで開催された米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(2020 Gastrointestinal Cancers Symposium)にて、導入化学療法後の切除不能な局所進行性または転移性HER2陰性胃/胃食道接合部(GEJ)がん患者に対する維持療法としての抗PD-L1抗体薬であるアベルマブ(商品名バベンチオ;以下バベンチオ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のJAVELIN Gastric 100試験(NCT02625610)の結果がJohannes Gutenberg-Universität MainzのMarkus Moehler氏らにより公表された。
JAVELIN Gastric 100試験とは、導入化学療法後の切除不能な局所進行性または転移性HER2陰性胃/胃食道接合部(GEJ)がん患者(N=499人)に対する維持療法として2週を1サイクルとしてバベンチオ10mg/kg単剤療法を投与する群(N=249人)、または導入化学療法を継続投与する群(N=250人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目としてPD-L1陽性群における全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)などを比較検証した第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値18ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はバベンチオ群10.4ヶ月(95%信頼区間:9.1-12.0ヶ月)に対して化学療法群10.9ヶ月(95%信頼区間:9.6-12.4ヶ月)、バベンチオ群で死亡(OS)のリスクを9%減少(HR:0.91,95%信頼区間:0.74-1.11,P=0.1779)するも統計学的有意な差は確認されなかった。なお、24ヶ月全生存率(OS)はバベンチオ群22.1%(95%信頼区間:16.8%-28.0%)に対して化学療法群15.5%(95%信頼区間:10.8%-20.9%)を示した。
副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)は両群間で同等(HR:1.04,95%信頼区間:0.85-1.28)であった。客観的奏効率(ORR)はバベンチオ群13.3%(95%信頼区間:9.3%-18.1%)に対して化学療法群14.4%(95%信頼区間:10.3%-19.4%)を示した。12ヶ月奏効持続率(DOR)はバベンチオ群62.3%(95%信頼区間:40.9%-77.9%)に対して化学療法群28.4%(95%信頼区間:13.2%-45.7%)を示した。
一方の安全性として、治療関連有害事象(TRAE)発症率は下記の通りである。バベンチオ群で全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率61.3%、グレード3以上12.8%に対して化学療法群で全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率77.3%、グレード3以上32.8%を示した。
以上のJAVELIN Gastric 100試験の結果よりMarkus Moehler氏らは以下のように結論を述べている。”導入化学療法後の切除不能な局所進行性または転移性HER2陰性胃/胃食道接合部(GEJ)がん患者に対する維持療法としての抗PD-L1抗体薬バベンチオ単剤療法は、臨床的意義のある抗腫瘍効果を示し、忍容性も化学療法に比べて良好でした。しかしながら、本試験では主要評価項目である全生存期間(OS)を達成できませんでした。”
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