・IDH1遺伝子変異陽性の進行性軟骨肉腫患者が対象の第1相試験
・IDH1阻害薬イボシデニブ単剤療法の有効性・安全性を検証
・無増悪生存期間中央値は5.6ヶ月、6ヶ月無増悪生存率は39.5%を示した
2020年3月24日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてIDH1遺伝子変異陽性の進行性軟骨肉腫に対するIDH1阻害薬であるイボシデニブ単剤療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT02073994)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのWilliam D. Tap氏らにより公表された。
本試験は、IDH1遺伝子変異陽性の進行性軟骨肉腫に対して28日を1サイクルとして1日1回イボシデニブ100mg~1200mg単剤療法を投与し、主要評価項目として安全性、最大耐用量(MTD)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを検証した多施設共同の第1相試験である。本試験に登録された21人の患者背景は下記の通りである。性別は女性8人。年齢中央値は55歳(30‐88歳)。前治療歴は11人の患者で1度以上の全身療法を受けている。
本試験が開始された背景として、限局性軟骨肉腫の標準治療方法は手術であるが、局所進行性/転移性軟骨肉腫に対する有効な全身療法は確立していない。また、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1/2(IDH1/2)酵素の変異は軟骨肉腫の最大65%で発生する。以上の背景より、IDH1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病に対して有用性が確認されているイボシデニブの進行性軟骨肉腫に対する有用性が本試験で検証された。
本試験の結果、グレード3以上の有害事象(AE)は12人の患者で確認され、その内低リン血症を発症した1人の患者のみが治療関連有害事象(TRAE)であった。20%以上の患者で発現が確認された全グレードの有害事象(AE)は下痢、吐き気、疲労、浮腫、QT延長であった。
副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は5.6ヶ月(95%信頼区間:1.9‐7.4ヶ月)、6ヶ月無増悪生存率(PFS)は39.5%を示した。また、全奏効理率(ORR)は病勢安定(SD)52.4%、病勢進行(PD)28.6%を示した。
以上の第1相試験の結果より、William D. Tap氏らは以下のように結論を述べている。”IDH1遺伝子変異陽性の進行性軟骨肉腫に対するIDH1阻害薬イボシデニブ単剤療法は、毒性が低発現であり、持続的な抗腫瘍効果を示しました。”
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