・複数治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫患者が対象の第1相試験
・AMG701単剤療法の有効性・安全性を比較検証
・投与量3~12mgの患者における奏効率36%、9mgへ早期に増量した群では83%を示した
2020年12月5日~8日、オンラインミーティングで開催された第62回米国血液学会議(ASH 2020)にて複数治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対するBCMA(B-Cell Maturation Antigen)を標的とするBiTE抗体(二重特異性T細胞誘導抗体)であるAMG701単剤療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT03287908)の結果がPeter MacCallum Cancer Centre and Royal Melbourne HospitalのSimon J Harrison氏らにより公表された。
本試験は、複数治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対して28日を1サイクルとして週1回AMG701単剤療法を病勢進行するまで投与し、主要評価項目として用量制限毒性(DLT)、安全性などを検証した第1相試験である。
本試験に登録された75人の患者背景は下記の通りである。年齢中央値は63歳。診断時より経過年数中央値は5.9年。前治療歴中央値は6レジメン(1~25レジメン)。前治療歴の種類は造血幹細胞移植83%、抗CD38モノクローナル抗体93%。プロテアソーム阻害薬(PI)、免疫調整薬(iMiD)、抗CD38モノクローナル抗体全ての抵抗性のある患者68%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
最も多くの患者で確認された血液関連の有害事象(AE)は貧血43%、好中球減少症23%、血小板減少症20%。最も多くの患者で確認された非血液関連の有害事象(AE)はサイトカイン放出症候群(CRS)61%、下痢31%、疲労25%、発熱25%であった。
用量制限毒性(DLT)が確認された患者は、グレード3のサイトカイン放出症候群(CRS)5人、グレード3の心房細動1人、グレード3のアシドーシス1人、グレード4の血小板減少症1人であった。重篤な有害事象(SAE)発症率39%(N=29人)であり、その内訳は感染症13人、サイトカイン放出症候群(CRS)7人、無症候性の膵臓酵素上昇3人であった。一方の有効性として、有効評価可能であったAMG701の投与量が3~12mgの45人の奏効率(RR)は36%(N=16/45人)を示した。投与量1.6mg以下の患者(N=27人)では0.8mgを投与した1人で奏効が認められた。また、早期に9mgへ増量できた患者(N=6人)の奏効率は83%(部分奏効(PR)3人、最良部分奏効(VGPR)2人)であった。
以上の第1相試験の結果よりSimon J Harrison氏らは「複数治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対するBCMAを標的とするBiTE抗体AMG701単剤療法の有害事象(AE)は管理可能であり、忍容性は問題ありませんでした」と結論を述べている。
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