・複数治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫患者が対象の第1b/2相試験
・コビメチニブ+ベネクレクスタ+テセントリク併用療法の有効性・安全性を比較検証
・客観的奏効率29%、奏効持続期間5.1ヵ月を示す
2020年12月5日~8日、オンラインミーティングで開催された第62回米国血液学会議(ASH 2020)にて複数治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫患者に対してMEK阻害薬であるコビメチニブ±経口BCL-2阻害薬ベネクレクスタ(一般名:ベネトクラクス、以下ベネクレクスタ)±抗PD-L1抗体であるテセントリク(一般名:アテゾリズマブ、以下テセントリク)併用療法の有効性、安全性を検証した第1b/2相試験の結果がOslo University HospitalのFredrik Schjesvold氏らにより公表された。
第1b/2相試験とは、複数治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫患者に対して28日を1サイクルとして1~21日目に1日1回コビメチニブ60mg単剤療法を投与する群(アームA)、28日を1サイクルとして1~21日目に1日1回コビメチニブ40mg+1~28日目に1日1回ベネクレクスタ800mg併用療法を投与する群(アームB)、28日を1サイクルとして1~21日目に1日1回コビメチニブ40mg+1~28日目に1日1回ベネクレクスタ800mg+1、15日目にテセントリク840mg併用療法を投与する群(アームC)に1対2対2の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、安全性を検証した第1b/2相試験である。
本試験が開始された背景として、再発難治性多発性骨髄腫患者の約50%はMAPK経路に変異が生じている。再発難治性多発性骨髄腫に対するMEK阻害薬単剤だけでは抗腫瘍効果が乏しいが、BCL-2阻害薬、抗PD-L1抗体を併用することにより抗腫瘍効果が高まることが期待されている。以上の背景より、複数治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者に対してMEK阻害薬コビメチニブ+経口BCL-2阻害薬ベネクレクスタ+抗PD-L1抗体テセントリク併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された49人の患者背景は下記の通りである。年齢中央値65歳(44-79歳)。性別は男性63%、ECOG PSはスコア0~1が94%。ISS分類はステージII/IIIが47%。前治療歴中央値は4レジメン(3~5レジメン)。前治療歴の種類は造血幹細胞移植(ASCT)歴43%、ダラツムマブ41%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
最も多くの患者で確認された全グレードの有害事象(AE)は下痢がアームAで33%、アームBで82%、アームCで91%、吐き気がアームAで17%、アームBで50%、アームCで67%、貧血がアームAで17%、アームBで46%、アームCで57%、好中球減少症がアームAで0%、アームBで32%、アームCで57%、皮膚障害がアームAで50%、アームBで14%、アームCで33%であった。
最も多くの患者で確認されたグレード3~4の有害事象(AE)は好中球減少症がアームAで0%、アームBで14%、アームCで38%、貧血がアームAで0%、アームBで23%、アームCで24%、血小板減少症がアームAで0%、アームBで18%、アームCで24%、肺炎がアームAで0%、アームBで14%、アームCで14%。なお、有害事象(AE)により治療中止に至った患者はアームAで17%、アームBで18%、アームCで14%であった。
一方の有効性として、客観的奏効率(ORR)はアームAで0%(N=0/6人)、アームBで27%(N=6/22人)、アームCで29%(N=6/21人)。奏効持続期間(DOR)中央値はアームBで11.5ヵ月に対してアームCで5.1ヵ月を示した。
以上の第1b/2相試験の結果よりFredrik Schjesvold氏らは「複数治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者に対するMEK阻害薬コビメチニブ+経口BCL-2阻害薬ベネクレクスタ+抗PD-L1抗体テセントリク併用療法の忍容性は良好でした。また、抗腫瘍効果も期待のできる結果を示しました」
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