・ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬未治療または中/高リスクのある骨髄線維症患者が対象の第3相試験
・JAK阻害薬モメロチニブ単剤療法の有効性・安全性を比較検証
・長期フォローアップの結果、全生存期間は34.3ヵ月を示し、ジャカビ群に対して非劣勢を示した
2020年12月5日~8日、オンラインミーティングで開催された第62回米国血液学会議(ASH 2020)にてヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬未治療または中/高リスクのある骨髄線維症患者に対するヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬であるモメロチニブ単剤療法の有効性、安全性を検証した第3相のSIMPLIFY-1/SIMPLIFY-2試験の長期フォローアップ結果がThe University of Texas MD Anderson Cancer CenterのSrdan Verstovsek氏らにより公表された。
SIMPLIFY-1試験とは、中/高リスクのある骨髄線維症患者に対するヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬未治療の骨髄線維症患者(N=432人)に対してモメロチニブ単剤療法を投与する群、またはジャカビ(一般名:ルキソリチニブ、以下ジャカビ)単剤療法を投与する群に無作為に振り分けた臨床試験である。
SIMPLIFY-2試験とは、ジャカビ治療中に血液関連有害事象(AE)を発症した骨髄線維症患者(N=156人)に対してモメロチニブ単剤療法を投与する群、または利用可能な最善の治療法(BAT)を投与する群に2対1の割合で無作為に振り分けた臨床試験である。
今回公表された長期フォローアップでは、SIMPLIFY-1/SIMPLIFY-2試験におけるフォローアップ期間中央値5年(SIMPLIFY-1:2.9年、SIMPLIFY-2試験:2.3年)時点における全生存期間(OS)、無白血病生存期間 (LFS) の結果が公表された。
本試験の長期フォローアップの結果、全生存期間(OS)と無白血病生存期間 (LFS)は同等の結果を示し、SIMPLIFY-1試験における死亡のリスクはハザード比0.99、SIMPLIFY-2試験における死亡のリスクはハザード比0.96を示した。また、SIMPLIFY-2試験における全生存期間(OS)中央値は34.3ヵ月を示した。
また、治療開始24週時点における35%以上の脾腫容積の減少と定義されたSplenic Responseは、モメロチニブ群の患者のうち26.5%に対して、ジャカビ群の患者のうち29.5%と、ジャカビ群に対するモメロチニブ群の非劣勢が示された(P<0.001)。
以上のSIMPLIFY-1/SIMPLIFY-2試験の長期フォローアップ結果よりSrdan Verstovsek氏らは「ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬未治療または中/高リスクのある骨髄線維症患者に対するモメロチニブ単剤療法は、持続的で良好な抗腫瘍効果を示しました。これらのデータはアンメットニーズに対するモメロチニブの潜在的可能性を示唆しています」と結論を述べている。
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