・腹膜播種を伴う切除不能進行/再発大腸がん患者が対象の第3相試験
・減量手術+腹腔内温熱化学療法の有効性・安全性を比較検証
・全生存期間は41.7ヶ月で、減量手術単独の41.2ヶ月に対して向上示さず
2021年1月18日、医学誌『The Lancet Oncology』にて腹膜播種を伴う切除不能進行/再発大腸がん患者に対する減量手術(Cytoreductive Surgery、以下CRS)+腹腔内温熱化学療法(HIPEC)の有効性、安全性を比較検証した第3相のPRODIGE7試験(NCT00769405)の結果がInstitut du Cancer de MontpellierのFrançois Quénet氏らにより公表された。
PRODIGE7試験とは、腹膜播種を伴う切除不能進行/再発大腸がん患者を減量手術(CRS)+腹腔内温熱化学療法(HIPEC)の組み合わせ療法を実施する群(N=133人)と減量手術(CRS)のみを実施する群(N=132人)に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、安全性などを比較検証したランダム化オープンラベルの第3相試験である。
本試験が開始された背景として、完全切除可能な腹膜播種を伴う大腸がん患者に対する減量手術(CRS)+腹腔内温熱化学療法(HIPEC)の組み合わせ療法は全生存期間(OS)を改善することが確認されている。以上の背景より、腹膜播種を伴う切除不能進行/再発大腸がん患者に対する減量手術(CRS)+腹腔内温熱化学療法(HIPEC)の組み合わせ療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値63.8ヶ月(IQR:53.0~77.1ヶ月)時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である全生存期間(OS)中央値は、減量手術(CRS)+腹腔内温熱化学療法(HIPEC)群41.7ヶ月(95%信頼区間:36.2~53.8ヶ月)に対して減量手術(CRS)群41.2ヶ月(95%信頼区間:35.1~49.7ヶ月)で、両群間で死亡(OS)のリスクは同等であった(HR:1.00、95%信頼区間:0.63~1.58、P=0.99)。
一方の安全性として、治療後30日時点のグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は減量手術(CRS)+腹腔内温熱化学療法(HIPEC)群42%に対して減量手術(CRS)群32%(P=0.083)と、同等の発生率であった。しかしながら、治療後60日時点のグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は減量手術(CRS)+腹腔内温熱化学療法(HIPEC)群26%、減量手術(CRS)群15%(P=0.035)であり、減量手術(CRS)+腹腔内温熱化学療法(HIPEC)群でグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率が高かった。
以上のPRODIGE7試験の結果よりFrançois Quénet氏らは「腹膜播種を伴う切除不能進行/再発大腸がん患者に対する減量手術(CRS)+腹腔内温熱化学療法(HIPEC)の組み合わせ療法は、減量手術(CRS)に比べて全生存期間(OS)を向上せず、晩期の術後合併症の発症率を増加させる可能性が示唆されました。以上の結果より、腹膜播種を伴う切除不能進行/再発大腸がん患者に対する治療戦略としては減量手術(CRS)のみが好ましいと考えられます」と結論を述べている。
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