・治癒切除後のステージIII胃がん患者が対象の第3相試験
・術後補助化学療法としてのTS-1+ドセタキセル併用療法の有効性・安全性を比較検証
・3年無再発生存率67.7%でTS-1単独療法に対して統計学的有意に改善した
2021年1月15日~17日、オンラインミーティングで開催された2021 Gastrointestinal Cancers Symposium(ASCO GI 2021)にて治癒切除後のステージIII胃がん患者に対する術後補助化学療法としてのTS-1(一般名:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム、以下TS-1)+ドセタキセル併用療法の有効性、安全性をTS-1単独療法と比較検証した第3相のJACCRO GC-07(START-2)試験(UMIN000010337)の3年フォローアップ解析の結果が岐阜大学腫瘍外科・吉田和弘氏らにより公表された。
JACCRO GC-07(START-2)試験とは、治癒切除後のステージIII胃がんに対する術後補助化学療法として1サイクル目は、21日を1サイクルとしてTS-1 80~120mgを14日間連日投与後7日間休薬、2~7サイクル目は、21日を1サイクルとして1日目ドセタキセル40mg/m2+1~14日目にTS-1 80~120mgを投与しその後7日間休薬、8サイクル目以降は、42日を1サイクルとしてTS-1 80~120mgを28日間連日投与後14日間休薬をする群、または42日を1サイクルとしてTS-1 80~120mgを28日間連日投与後14日間休薬を8サイクル受ける群に無作為に振り分けた。主要評価項目として3年無再発生存期間(RFS)、副次評価項目として3年/5年全生存期間(OS)、5年無再発生存期間(RFS)、治療成功期間(TTF)、有害事象(AE)の発生割合などを比較検証したランダム化比較の第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値42.5ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である3年無再発生存期間(RFS)はTS-1+ドセタキセル併用療法の67.7%に対してTS-1単独療法で57.4%と、再発または死亡(RFS)のリスクを28.5%(HR:0.715、95%信頼区間:0.587-0.871、P=0.0008)統計学的有意に減少した。
副次評価項目である3年全生存率(OS)はTS-1+ドセタキセル併用療法の77.7%に対してTS-1単独療法で71.2%と、死亡(OS)のリスクを25.8%(HR:0.742、95%信頼区間:0.596-0.925、P=0.0076)統計学的有意に減少した。
以上のJACCRO GC-07(START-2)試験の3年フォローアップ解析の結果より吉田和弘氏らは「治癒切除後のステージIII胃がん患者に対する術後補助化学療法としてのTS-1+ドセタキセル併用療法は、TS-1単独療法に比べて3年無再発生存期間(RFS)を統計学的有意に改善しました」と結論を述べている。
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