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治療歴のあるIDH1変異陽性の切除不能/転移性胆管がんに対するIvosidenib単剤療法、全生存期間中央値10.3ヶ月を示すASCO GI 2021

  • [公開日]2021.02.09
  • [最終更新日]2021.02.08
この記事の3つのポイント
・治療歴のあるIDH1変異陽性の切除不能/転移性胆管がん患者が対象の第3相試験の全生存期間のフォローアップ解析
・Ivosidenib(イボシデニブ)単剤療法有効性安全性を比較検証
・全生存期間は10.3ヶ月を示し、プラセボ群に対して死亡リスクを21%減少した

2021年1月15日~17日、オンラインミーティングで開催された2021 Gastrointestinal Cancers Symposium(ASCO GI 2021)にて治療歴のあるイソクエン酸デヒドロゲナーゼ1(IDH1)変異陽性の切除不能/転移性胆管がん患者に対する変異型IDH1阻害薬であるIvosidenib(イボシデニブ:AG-120)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のClarIDHy試験(NCT02989857)の副次評価項目である全生存期間(OS)のフォローアップ追跡結果がMassachusetts General HospitalのAndrew Zhu氏らにより公表された。

ClarIDHy試験とは治療歴のあるIDH1変異陽性の切除不能/転移性胆管がん患者に対して1日1回Ivosidenib(AG-120)500mg単剤療法を投与する群(N=126人)、またはプラセボ単剤療法を投与する群(N=61人)に2対1の割合で振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間PFS)、副次評価として全生存期間(OS)、客観的奏効率ORR)、安全性などを比較検証した国際多施設共同二重盲検ランダム化の第3相試験である。

主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は既に報告されており、プラセボ群に比べてIvosidenib(AG-120)群で統計学的有意に改善した。(HR:0.37、P<0.0001)。また、副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はIvosidenib(AG-120)群の2.4%(部分奏効3人)に対してプラセボ群で0%、病勢コントロール率DCR)はIvosidenib(AG-120)群の50.8%に対してプラセボ群で27.9%を示している。

胆管がんは希少ながんであり、治療選択肢が非常に限られている。胆管がんの患者のうち、約20%がIDH1変異陽性である。また、Ivosidenib(AG-120)はファーストインクラスの低分子IDH1阻害薬である。以上の背景より、IDH1変異陽性の切除不能/転移性胆管がん患者に対する変異型IDH1阻害薬Ivosidenib(AG-120)単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験に登録された187人の患者背景は下記の通りである。年齢中央値は62歳。性別は男性68人、女性119人。前治療歴は2レジメンが47%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。

副次評価項目である全生存期間(OS)中央値はIvosidenib(AG-120)群の10.3ヶ月に対してプラセボ群で7.5ヶ月と、Ivosidenib(AG-120)群で死亡(OS)のリスクを21%(HR:0.79,95%信頼区間:0.56~1.12,P=0.093)減少した。なお、死亡(OS)イベント発生率はIvosidenib(AG-120)群79%、プラセボ群82%であった。

一方の安全性として、Ivosidenib(AG-120)群で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は15%であり、その内訳は、悪心41%、下痢35%、倦怠感31%、咳25%、腹痛24%、食欲減退24%、腹水23%、嘔吐23%、貧血18%、便秘15%だった。

以上のClarIDHy試験の副次評価項目である全生存期間(OS)のフォローアップ追跡結果よりAndrew Zhu氏らは「治療歴のあるIDH1変異陽性の切除不能/転移性胆管がん患者に対する変異型IDH1阻害薬Ivosidenib(AG-120)単剤療法は、プラセボ療法に比べて無増悪生存期間(PFS) 同様に全生存期間(OS)でも改善傾向を示す可能性が示唆されました。安全性プロファイルも良好であり臨床的有用性を実証している」と結論を述べている。

Final results from ClarIDHy, a global, phase III, randomized, double-blind study of ivosidenib (IVO) versus placebo (PBO) in patients (pts) with previously treated cholangiocarcinoma (CCA) and an isocitrate dehydrogenase 1 (IDH1) mutation.(2021 Gastrointestinal Cancers Symposium,Abstract No:266)

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