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HER2陽性の進行性乳がんに対するMargetuximab+化学療法、無増悪生存期間を統計学的有意に改善JAMA Oncologyより

  • [公開日]2021.02.18
  • [最終更新日]2021.02.17
この記事の3つのポイント
・複数治療歴のあるHER2陽性の進行性乳がん患者が対象の第3相試験
・Margetuximab(マルゲツキシマブ)+化学療法有効性安全性を比較検証
無増悪生存期間は5.8ヶ月で、ハーセプチン+化学療法群と比較して統計学的有意に延長

2021年1月22日、医学誌『JAMA Oncology』にて複数治療歴のあるHER2陽性の進行性乳がん患者に対するFc最適化抗HER2抗体薬であるMargetuximab(マルゲツキシマブ)+化学療法の有効性、安全性を抗HER2抗体薬であるハーセプチン(一般名:トラスツズマブ、以下ハーセプチン)+化学療法と比較検証した第3相のSOPHIA試験(NCT02492711)の結果がUniversity of California San Francisco Helen Diller Family Comprehensive Cancer CenterのHope S. Rugo氏らにより公表された。

SOPHIA試験とは、2レジメン以上の治療歴のあるHER2陽性の進行性乳がん患者(N=536人)に対して3週を2サイクルとしてMargetuximab 15mg/kg+主治医選択の化学療法を投与する群(N=266人)、または3週を1サイクルとしてハーセプチン6mg/kg(1サイクル目のみ8mg/kg)+主治医選択の化学療法を投与する群(N=270人)に振り分け、主要評価項目として盲検下独立中央評価(BICR)による無増悪生存期間(PFS)、全生存期間OS)、副次評価項目として主治医評価による無増悪生存期間(PFS)、盲検下独立中央評価(BICR)による客観的奏効率ORR)を比較検証した第3相試験である。

本試験が開始された背景として、複数治療歴のあるHER2陽性の進行性乳がんは一般的に治癒が困難であり、その後の治療も標準的に確立した治療は存在しない。Fc最適化抗HER2抗体薬であるMargetuximabは、免疫活性を高めることで抗腫瘍効果を増加させ、本疾患の治療として有用性が期待されている。以上の背景より、複数治療歴のあるHER2陽性の進行性乳がん患者に対するFc最適化抗HER2抗体薬Margetuximab+化学療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は56歳(27~86歳)。性別はMargetuximab群で女性100%(N=266人)、ハーセプチン群で女性98.9%(N=267人)。両群間で患者背景に大きな偏りはなかった。

本試験の結果、主要評価項目である盲検下独立中央評価(BICR)による無増悪生存期間(PFS)中央値はMargetuximab群の5.8ヶ月(95%信頼区間:5.5-7.0ヶ月)に対してハーセプチン群で4.9ヶ月(95%信頼区間:4.2-5.6ヶ月)と、Margetuximab群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを24%減少(HR:0.76、95%信頼区間:0.59-0.98、P=0.03)した。

また、全生存期間(OS)中央値はMargetuximab群の21.6ヶ月に対してハーセプチン群で19.8ヶ月と、Margetuximab群で死亡(OS)のリスクを11%減少(HR:0.89、95%信頼区間:0.69-1.13、P=0.33)した。

また、副次評価項目である主治医評価による無増悪生存期間(PFS)はMargetuximab群の5.7ヶ月に対してハーセプチン群で4.4ヶ月と、Margetuximab群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを29%減少(HR:0.71、95%信頼区間:0.58-0.86、P<0.001)した。

以上のSOPHIA試験の結果よりHope S. Rugo氏らは「複数治療歴のあるHER2陽性の進行性乳がん患者に対するFc最適化抗HER2抗体薬Margetuximab+化学療法は、抗HER2抗体薬ハーセプチン+化学療法に比べて無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しました。なお、本試験の全生存期間(OS)の最終解析結果は2021年中に公表される予定です」と結論を述べている。

Efficacy of Margetuximab vs Trastuzumab in Patients With Pretreated ERBB2-Positive Advanced Breast Cancer-A Phase 3 Randomized Clinical Trial-(JAMA Oncol. 2021 Jan 22;e207932. doi: 10.1001/jamaoncol.2020.7932.)

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