3月31日、エーザイ株式会社とMSD株式会社はマルチキナーゼ阻害剤レンビマ(一般名:レンバチニブメシル酸塩、以下レンビマ)について、抗PD-1抗体薬キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)との併用療法で進行性腎細胞がんに対する適応追加を申請したと発表した。
腎細胞がんは、腎がんの約9割を占める最も発生頻度の高いがんである。腎細胞がんの約30%は診断時に転移が確認され、約40%は局所性腎細胞がんに対する一次外科治療後に再発すると報告されている。転移性腎細胞がんの5年生存率は12%であり、予後不良である。
今回の申請は、第3相CLEAR試験(307/KEYNOTE-581試験)結果に基づくもの。同試験では、進行性腎細胞がんの一次治療としてレンビマ+キイトルーダ併用療法とレンビマ+エベロリムス併用療法をスニチニブと比較し、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目である全生存期間(OS)と奏効率(ORR)で評価した。その結果、スニチニブに対して統計学的有意に、また臨床的に意義のある改善を認めた。
エーザイとMSDは、日本でのレンビマの情報提供を通じた協業を実施している。なお、レンビマ+キイトルーダ併用療法の申請は日本初となる。
レンビマは、腫瘍血管新生や腫瘍悪性化に関係する血管内皮増殖因子受容体のVEGFR1/2/3や線維芽細胞増殖因子受容体であるFGFR1/2/3/4、さらに血小板由来増殖因子受容体のPDGFRα、KIT、RETなどに対する選択的阻害活性を有する経口投与可能なマルチキナーゼ阻害剤。キイトルーダは自己の免疫力を高め、がん細胞を見つけて攻撃するのを助ける抗PD-1抗体で、PD-1とそのリガンドであるPD-L1およびPD-L2との相互作用を阻害して、がん細胞を攻撃するTリンパ球を活性化するヒト化モノクローナル抗体である。
腎細胞がんとは
腎がんの罹患者数は世界で43万人以上と推定され、日本では、2万5千人以上が新たに診断され、死亡者数は8千人以上と推定されている。腎細胞がんは、腎臓において一番発生頻度が高く、腎がんの約9割を占める。男性は女性の約2倍の頻度で発症するとされている。
CLEAR試験(307/KEYNOTE-581試験)とは
進行性腎細胞がんの一次治療を対象として、レンビマ20mg+3週間毎にキイトルーダ200mg投与、または、レンビマ18mg+エベロリムス5mg投与、または、スニチニブ50mgを4週間投与後2週間休薬の3群に振り分け、比較評価を行った第3相試験。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は、レンビマ+キイトルーダ群で23.9カ月(95%信頼区間:20.8-27.7)、スニチニブ群で9.2カ月(95%信頼区間:6.0-11.0)であり、増悪また死亡のリスクを61%減少させた(HR=0.39、95%CI:0.32-0.49、p<0.001)。
参照元:
エーザイ株式会社 ニュースリリース
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