・進行性扁平上皮非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験
・ファーストラインとしてTislelizumab(チスレリズマブ)+化学療法併用療法の有効性・安全性を比較検証
・無増悪期間はTislelizumab(チスレリズマブ)+化学療法群7.6ヶ月、化学療法群5.5ヶ月であり、統計学的有意に延長し、
病勢進行または死亡(PFS)のリスクを47.6%減少した
2021年4月1日、医学誌『JAMA Oncology』にて進行性扁平上皮非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬であるTislelizumab(チスレリズマブ)+化学療法の有効性、安全性を比較検証した第3相試験(NCT03594747)の結果がChinese Academy of Medical Sciences and Peking Union Medical CollegeのJie Wang氏らにより公表された。
本試験は、進行性扁平上皮非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療として21日を1サイクルとして1日目にTislelizumab(チスレリズマブ)200mg+1日目にパクリタキセル175mg/m2+1日目にカルボプラチンAUC5併用療法を投与する群(アームA)、21日を1サイクルとして1日目にTislelizumab(チスレリズマブ)200mg+1、8、15日目にナブパクリタキセル100mg/m2+カルボプラチンAUC5併用療法を投与する群(アームB)、または21日を1サイクルとして1日目にパクリタキセル175mg/m2+1日目にカルボプラチンAUC5併用療法を投与する群(アームC)に1対1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として独立評価委員会(IRC)判定の無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、IRC判定の客観的奏効率(ORR)、有害事象(AE)などを検証した第3相試験である。
本試験に登録された355人の患者背景は下記の通りである。年齢中央値は62歳(34~74歳)。性別は男性91.7%(N=330人)。本試験のフォローアップ期間中央値8.6ヶ月(95%信頼区間:8.1~9.0ヶ月)時点における結果は下記の通りである。
主要評価項目である独立評価委員会(IRC)判定の無増悪生存期間(PFS)中央値はアームA群7.6ヶ月、アームB群7.6ヶ月に対してアームC群5.5ヶ月、アームC群に比べてアームA群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを47.6%(HR:0.524、95%信頼区間:0.370-0.742、P<0.001)減少、アームC群に比べてアームB群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを52.2%(HR:0.478、95%信頼区間:0.336-0.679、P<0.001)減少を示した。
副次評価項目であるIRC判定の客観的奏効率(ORR)はTislelizumab(チスレリズマブ)が投与されたアームA群72.5%、アームB群74.8%に対して化学療法のみのアームC群49.6%。奏効持続期間(DOR)中央値はTislelizumab(チスレリズマブ)が投与されたアームA群8.2ヶ月、アームB群8.6ヶ月に対して化学療法のみのアームC群4.2ヶ月を示した。
一方の安全性として、有害事象(AE)による治療中止率はTislelizumab(チスレリズマブ)が投与されたアームA群12.5%、アームB群29.7%に対して化学療法のみのアームC群15.4%であった。最も多くの患者で確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は好中球数減少であった。
以上の第3相試験の結果よりJie Wang氏らは「進行性扁平上皮非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療として化学療法に抗PD-1抗体薬Tislelizumab(チスレリズマブ)を上乗せすることで独立評価委員会(IRC)判定の無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善し、客観的奏効率(ORR)も高率であり、忍容性も問題ありませんでした」と結論を述べている。
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