・未治療の全身性ALアミロイドーシス患者が対象の第3相試験のアップデート解析
・ダラザレックス+シクロホスファミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン併用療法の有効性・安全性を
シクロホスファミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン併用療法と比較検証
・血液学的完全奏効率は59%を示し、統計学的有意に高率であった
2021年6月4日~8日、オンラインミーティングで開催された第57回米国臨床腫瘍学会(ASCO 2021)にて未治療の全身性ALアミロイドーシス患者に対する抗CD38モノクローナル抗体であるダラザレックス(一般名:ダラツムマブ、以下ダラザレックス)+シクロホスファミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のANDROMEDA試験(NCT03201965)のアップデート解析の結果がNational and Kapodistrian University of AthensのEfstathios Kastritis氏らにより公表された。
ANDROMEDA試験とは、未治療の全身性ALアミロイドーシス患者に対して、28日を1サイクルとしてダラザレックス1800mg+シクロホスファミド300mg/m2+ボルテゾミブ1.3mg/m2+デキサメタゾン40mg併用療法を投与する群(DARA-VCd群、N=195人)とシクロホスファミド300mg/m2+ボルテゾミブ1.3mg/m2+デキサメタゾン40mg併用療法を投与する群(VCd群、N=193人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として国際アミロイドーシス統一治療効果判定基準に基づく血液学的完全奏効率(CR)を比較検証したランダム化非盲検実薬対照多施設共同国際共同の第3相試験である。
本アップデート解析が開始された背景として、初回解析の結果では未治療の全身性ALアミロイドーシス患者に対するDARA-VCd併用療法は高率な血液学的完全奏効(CR)を示し、忍容性も問題ないことが確認されている。そこで、未治療の全身性ALアミロイドーシス患者に対するDARA-VCd併用療法の長期に渡る有効性、安全性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験のアップデート解析時における治療期間中央値は、DARA-VCd群が18.5ヶ月に対してVCd群で5.3ヶ月を示し、DARA-VCd併用療法を受けた患者の40%(N=78/195人)が依然として治療を継続している。
主要評価項目である血液学的完全奏効率(CR)は、DARA-VCd群の59%に対してVCd群で19%と、DARA-VCd群で高率であった(OR:5.9、95%信頼区間:3.7~9.4、P<0.0001)。
また、最良部分奏効率(VGPR)は、DARA-VCd群の79%に対してVCd群50%と、DARA-VCd群で高率であった(OR:3.7、95%信頼区間:2.4~5.9、P<0.0001)。
6ヶ月Cardiac response rates(心反応率)は、DARA-VCd群の42%に対してVCd群で22%、12ヶ月Cardiac response ratesはDARA-VCd群の57%に対してVCd群で28%を示した。
また、6ヶ月renal response rates(腎反応率)は、DARA-VCd群の54%に対してVCd群で27%、12ヶ月renal response ratesはDARA-VCd群の57%に対してVCd群で27%を示した。
一方の安全性として、7サイクル目以降のDARA-VCd群において、5%以上の患者に確認されたグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)はなかった。
以上のANDROMEDA試験のアップデート解析の結果よりEfstathios Kastritis氏らは「抗CD38モノクローナル抗体ダラザレックス+シクロホスファミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン(DARA-VCd)併用療法は、全身性ALアミロイドーシスの標準治療になる可能性が本試験により示唆されました」と結論を述べている。
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