・完全切除後のHER2陰性早期乳がん患者が対象の第2相試験
・セレコキシブ単剤療法の有効性・安全性をプラセボと比較検証
・5年生存率は84%であり、プラセボの83%に対して統計学的有意な改善を示さなかった
2021年7月15日、医学誌『JAMA Oncology』にて完全切除後のHER2陰性早期乳がん患者に対する術後療法としてのCOX-2高選択的阻害薬であるセレコキシブ単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のThe Randomized European Celecoxib Trial(REACT)試験(NCT02429427)の結果がImperial College LondonのR. Charles Coombes氏らにより公表された。
The Randomized European Celecoxib Trial(REACT)試験は、完全切除後のHER2陰性早期乳がん患者(N=2639人)に対して術後療法として1日1回セレコキシブ400mgを2年間投与する群(N=1763人)とプラセボを2年間投与する群(N=876人)に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無病生存期間(DFS)を比較検証した国際多施設共同第3相試験である。
本試験に登録された2639人における年齢中央値は55.2歳(26.8~86.0歳)。73%の患者はエストロゲン受容体陽性もしくはプロゲステロン受容体陽性でHER2陰性。リンパ節転移陽性率は48%(N=1265人)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
フォローアップ期間中央値74.3ヶ月時点での主要評価項目である5年無病生存率(DFS)はセレコキシブ単剤群84%に対してプラセボ単剤群83%、両群間で統計学有意な差は確認されなかった(HR:0.97、95%信頼区間:0.80~1.17、P=0.75)。一方の安全性として、有害事象(AE)発症率は両群間で低率であり、統計学有意な差は確認されなかった。
以上のREACT試験の結果よりR. Charles Coombes氏らは「完全切除後のHER2陰性早期乳がん患者に対する術後療法としてのCOX-2高選択的阻害薬セレコキシブ単剤療法はプラセボ単剤療法に比べて5年無病生存率(DFS)を統計学有意に改善しませんでした」と結論を述べている。
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