・転移性去勢抵抗性前立腺がん患者が対象の第3相試験
・ザイティガ+リムパーザ併用療法の有効性・安全性をザイティガ+プラセボと比較検証
・無増悪生存期間は統計学的有意に改善し、全生存期間も改善傾向を認めた
2021年9月24日、英アストラゼネカ社のプレスリリースにて未治療の転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者に対するファーストライン治療としてザイティガ(一般名:アビラテロン、以下ザイティガ)にPARP阻害薬であるリムパーザ(一般名:オラパリブ、以下リムパーザ)を上乗せした併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のPROpel試験の初回解析の結果が公表された。
PROpel試験は、未治療の転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者に対するファーストライン治療としてザイティガ+リムパーザ併用療法を投与する群、またはザイティガ+プラセボ併用療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)を比較検証した多施設共同二重盲検ランダム化の第3相試験である。
本試験が開始された背景として、男性の悪性腫瘍の中で前立腺がんは2番目に罹患者数が多い疾患である。しかしながら、その治療選択肢は限られており、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)の5年全生存率(OS)は低率である。以上の背景より、未治療の転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者に対するファーストライン治療としてのザイティガ+リムパーザ併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験の初回解析の結果、主要評価項目である画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)はザイティガ+プラセボ併用群に比べてザイティガ+リムパーザ併用群で統計学的有意に改善することが示された。また、副次評価項目である全生存期間(OS)もザイティガ+プラセボ併用群に比べてザイティガ+リムパーザ併用群で改善傾向は示されたが、データは未成熟であった。
一方の安全性として、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなく、既存の臨床試験で確認されているリムパーザの安全性プロファイルと一致していた。
以上のPROpel試験の初回解析結果より、アストラゼネカのSusan Galbraith氏は「転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者さんに対するファーストライン治療の選択肢は限られています。そのため、本試験で示された臨床的意義のある結果は、ザイティガ+リムパーザ併用が本疾患の新しい治療選択肢になり得る可能性を示唆したでしょう」と結論を述べている。
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