・化学療法による治療歴のない転移性去勢抵抗性前立腺がん患者が対象の第3相試験
・アパルタミド+ザイティガ+プレドニゾロン併用療法の有効性・安全性をプラセボ併用療法と比較検証
・最新解析における画像診断による無増悪生存期間はアパルタミド+ザイティガ+プレドニゾロン併用群は24.0ヶ月であり、
プラセボ併用群に対して統計学的有意に延長した
2021年9月30日、医学誌『The Lancet Oncology』に化学療法による治療歴のない転移性去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者に対する選択的アンドロゲン受容体阻害薬であるアパルタミド+ザイティガ(一般名:アビラテロン、以下ザイティガ)+プレドニゾロン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のACIS試験(NCT02257736)の結果がCentre Hospitalier de l’Université de MontréalのFred Saad氏らにより公表された。
ACIS試験は、化学療法による治療歴のない転移性去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者(N=982人)に対して28日を1サイクルとして1日1回アパルタミド240mg+1日1回ザイティガ1000mg+1日2回プレドニゾロン5mg併用療法を実施する群(N=492人)、または28日を1サイクルとしてプラセボ+1日1回ザイティガ1000mg+1日2回プレドニゾロン5mg併用療法を実施する群(N=490人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として画像診断による無増悪生存期間(rPFS)を比較検証した第3相試験である。
本試験が開始された背景として、転移性去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)の現在の標準治療はアンドロゲンシグナルを標的とした治療法である。しかし、転移性去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)はアンドロゲン受容体と腫瘍内のアンドロゲンの上昇の療法によって引き起こさるため、患者の大部分は致死的な病勢進行をたどることがある。以上の背景より、化学療法による治療歴のない転移性去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者に対する選択的アンドロゲン受容体阻害薬アパルタミド+ザイティガ+プレドニゾロン併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値25.7ヶ月時点における初回解析の結果は下記の通りである。主要評価項目である画像診断による無増悪生存期間(rPFS)中央値はアパルタミド+ザイティガ+プレドニゾロン併用群の22.6ヶ月(95%信頼区間:19.4~27.4ヶ月)に対してプラセボ+ザイティガ+プレドニゾロン併用群で16.6ヶ月(95%信頼区間:13.9~19.3ヶ月)と、アパルタミド+ザイティガ+プレドニゾロン併用群で画像診断による病勢進行または死亡(rPFS)のリスクが31%減少(HR:0.69、95%信頼区間:0.58~0.83、P<0.0001)した。
また、最新アップデート解析であるフォローアップ期間中央値54.8ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である画像診断による無増悪生存期間(rPFS)中央値はアパルタミド+ザイティガ+プレドニゾロン併用群の24.0ヶ月(95%信頼区間:19.7~27.5ヶ月)に対してプラセボ+ザイティガ+プレドニゾロン併用群で16.6ヶ月(95%信頼区間:13.9~19.3ヶ月)と、アパルタミド+ザイティガ+プレドニゾロン併用群で画像診断による病勢進行または死亡(rPFS)のリスクが30%減少(HR:0.70、95%信頼区間:0.60~0.83、P<0.0001)した。
最も多くの患者で確認されたグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)発症率は高血圧で、アパルタミド+ザイティガ+プレドニゾロン併用群の17%に対してプラセボ+ザイティガ+プレドニゾロン併用群で10%であった。重篤な有害事象(SAE)発症率はアパルタミド+ザイティガ+プレドニゾロン併用群の40%に対してプラセボ+ザイティガ+プレドニゾロン併用群で37%であった。
以上のACIS試験の結果よりFred Saad氏らは「化学療法による治療歴のない転移性去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者に対する選択的アンドロゲン受容体阻害薬アパルタミド+ザイティガ+プレドニゾロン併用療法は、主要評価項目である画像診断による無増悪生存期間(rPFS)を統計学的有意に改善を示しました。今後、併用療法が最も効果的なサブグループを特定するための追加研究が必要です」と結論を述べている。
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