・Intermediate-Fitの新規多発性骨髄腫患者が対象の第2相試験
・ニンラーロ+ダラザレックス+デキサメタゾン併用療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率は71%と抗腫瘍効果を認めたが安全性に課題が残った
2021年12月11日~13日に開催された、第63回米国血液学会(ASH2021)にてIntermediate-Fitの新規多発性骨髄腫(NDMM)患者を対象にプロテアソーム阻害薬ニンラーロ(一般名:イキサゾミブ、以下ニンラーロ)+抗CD38モノクローナル抗体ダラザレックス(一般名:ダラツムマブ、以下ダラザレックス)+デキサメタゾン併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のHOVON143試験の結果がVrije Universiteit AmsterdamのKaz Groen氏らにより公表された。
HOVON143試験は、Intermediate-Fitの新規多発性骨髄腫(NDMM)患者(N=65人)に対して導入療法として28日を1サイクルとして1、8、15日目にニンラーロ4mgと1、8、15、22日目にダラザレックス16mg/kg(3~6サイクル目は1、15日目、7~9サイクルは1日目)とデキサメタゾンの併用療法を9サイクル実施し、その後維持療法として8週を1サイクルとして1、8、15、29、36、43日目に1日1回ニンラーロ4mgと1日目にダラザレックス16mg/kgの併用療法を最大2年間もしくは病勢進行するまで実施し、主要評価項目として導入療法完了時点の客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した第2相試験である。
本試験が開始された背景として、Intermediate-Fitの新規多発性骨髄腫(NDMM)はFitの新規多発性骨髄腫(NDMM)に比べて予後不良であり、治療中止率が高率である。以上の背景より、新規作用機序の治療レジメンであるプロテアソーム阻害薬ニンラーロ+抗CD38モノクローナル抗体ダラザレックス+デキサメタゾン併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された患者の年齢中央値は76歳(65~80歳)、性別は男性が54%(N=35人)。WHO PSスコアはスコア0が38%、スコア1が43%、スコア2が9%、スコア3が5%、不明が5%、ISS病期はステージIが25%、ステージIIが57%、ステージIIIが18%。ハイリスク遺伝子異常の有無はありが14%であった。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
本試験の結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は71%(95%信頼区間:63-73%)で、奏効の内訳は最良部分奏効率(VGPR)35%(N=23人)、完全奏効率(CR)2%(N=1人)を示した。副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は17.4ヵ月(95%信頼区間:10.4-22.6ヵ月)、全生存期間(OS)中央値は未到達、12ヵ月全生存率(OS)は92%(95%信頼区間:82-97%)を示した。
導入療法から維持療法へ移行できなかった患者は46%(N=30人)で、その原因は病勢進行(PD)が29%、有害事象(AE)が6%、コンプライアンス違反が5%、死亡が2%、その他が5%であった。グレード3以上の血液関連有害事象(AE)発症率は12%(N=8/65人)で、主なものは好中球減少症の6%であった。一方、グレード3以上の非血液関連有害事象(AE)は上部消化管系が14%、中枢神経系有害事象(AE)が11%、感染症が9%であった。
以上のHOVON143試験の結果よりKaz Groen氏らは「Intermediate-Fitの新規多発性骨髄腫(NDMM)患者に対するプロテアソーム阻害薬ニンラーロ+抗CD38モノクローナル抗体ダラザレックス+デキサメタゾン併用療法は忍容性があり、効果のある治療レジメンです。しかしながら、有害事象(AE)による治療中止は無増悪生存期間(PFS)を悪化させるため、有効性と忍容性のバランスが取れた治療法の本試験で確認された治療法の検証が必要になります」と結論を述べている。
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