・複数治療歴のある悪性リンパ腫患者が対象の第1相試験
・Zilovertamab vedotin単剤療法の有効性・安全性を検証
・推奨用量は3週を1サイクルとしてZilovertamab vedotin 2.5mg/kg であり、
客観的奏効率はマントル細胞リンパ腫で47%、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫で60%を示した
2021年10月12日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて複数治療歴のある悪性リンパ腫患者を対象に抗ROR1抗体薬物複合体であるZilovertamab vedotin単剤療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT03833180)の結果がMD Anderson Cancer CenterのMichael L. Wang氏らにより公表された。
本試験は、複数治療歴のある悪性リンパ腫患者(N=32人)に対して3週を1サイクルとしてZilovertamab vedotin(0.5、1.0、1.5、2,25、2.5mg/kg)単剤療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)を発現するまで投与し、主要評価項目として最大耐用量(MTD)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを検証した第I相試験である。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。悪性リンパ腫の種類はマントル細胞リンパ腫(MCL)15人、慢性リンパ性白血病(CLL)7人、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)5人、濾胞性リンパ腫(FL)3人など。前治療歴の中央値は4レジメンであった。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。確認された有害事象(AE)は急性好中球減少症、神経障害であったが、臨床的に懸念される有害事象(AE)の発現は確認されなかった。以上の結果より、推奨用量は3週を1サイクルとしてZilovertamab vedotin 2.5mg/kgとして決定された。
副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は、マントル細胞リンパ腫(MCL)で47%(N=7/15人)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)で60%(N=3/5人)を示し、その他の悪性リンパ腫では抗腫瘍効果を確認できなかった。
以上の第1相試験の結果よりMichael L. Wang氏らは「複数治療歴のある悪性リンパ腫患者に対する抗ROR1抗体薬物複合体であるZilovertamab vedotin単剤療法は忍容性が良好であり、マントル細胞リンパ腫(MCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対して臨床的に期待のできる抗腫瘍効果を示しました。ROR1を選択的に標的とすることは、新規かつ臨床的に有益なアプローチを提供する可能性があるという概念を支持するものです」と結論を述べている。
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