・BRAFV600E遺伝子変異陽性神経膠腫(グリオーマ)患者が対象の第2相試験
・ダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率は高悪性度群で33%、低悪性度群で69%であり、
高悪性度群で3人、低悪性度群で1人が完全奏功を示した
2021年11月24日、医学誌『The Lancet Oncology』にてBRAFV600E遺伝子変異陽性神経膠腫(グリオーマ)患者に対するBRAF阻害薬ダブラフェニブ+MEK阻害薬トラメチニブ併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相のバスケット試験(NCT02034110)の結果がHarvard Medical SchoolのPatrick Y Wen氏らにより公表された。
本試験は、BRAFV600E遺伝子変異陽性神経膠腫(グリオーマ)患者に対して1日2回ダブラフェニブ150mg+1日1回トラメチニブ2mg併用療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで実施し、主要評価項目として主治医評価の客観的奏効率(ORR)を検証した多施設共同オープンラベルシングルアームの第2相試験である。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。高悪性度神経膠腫(グリオーマ)は45人(うち31名が膠芽腫)、低悪性度神経膠腫(グリオーマ)は13人。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
フォローアップ期間中央値12.7ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である高悪性度神経膠腫(グリオーマ)群における客観的奏効率(ORR)は33%(95%信頼区間:20~49%、N=15/45人)を示し、奏効の内訳は完全奏効(CR)が3人、部分奏功(PR)が12人であった。
低悪性度神経膠腫(グリオーマ)群における客観的奏効率(ORR)は69%(95%信頼区間:39%~91%、N=9/13人)を示し、奏効の内訳は完全奏効(CR)が1人、部分奏効(PR)が6人であった。
一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率は53%(N=31人)を示し、最も多くの患者で確認された有害事象(AE)は疲労が9%(N=5人)、好中球数減少が9%(N=5人)、頭痛が5%(N=3人)、好中球減少症が5%(N=3人)であった。
以上のバスケット試験の結果よりPatrick Y Wen氏らは「BRAFV600E遺伝子変異陽性神経膠腫(グリオーマ)患者に対するBRAF阻害薬ダブラフェニブ+MEK阻害薬トラメチニブ併用療法は、臨床的効果のある奏効率を示しました」と結論を述べている。
脳腫瘍の治験・臨床試験広告
この記事に利益相反はありません。