・PD-L1陽性の化学療法ナイーブ再発/転移性非小細胞肺がん患者が対象の第2相試験
・Tiragolumab+テセントリク併用療法の有効性・安全性を比較検証
・客観的奏効率は31.3%、無増悪生存期間は5.4ヶ月であり、テセントリク単剤(16.2%、3.6ヶ月)に対して改善を認めた
5月13日、医学誌『The Lancet Oncology』にてPD-L1陽性の化学療法ナイーブ再発/転移性非小細胞肺がん患者に対する抗TIGIT抗体であるTiragolumab(チラゴルマブ)+抗PD-L1抗体薬であるテセントリク(一般名:アテゾリズマブ、以下テセントリク)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のCITYSCAPE試験(NCT03563716)の長期フォローアップの結果がYonsei Cancer CenterのByoung Chul Cho氏らにより公表された。
CITYSCAPE試験は、PD-L1陽性の化学療法ナイーブ再発/転移性非小細胞肺がん患者(N=135人)に対して3週を1サイクルとしてTiragolumab600mg+テセントリク1200mg併用療法を実施する群(N=67人)、または3週を1サイクルとしてプラセボ+テセントリク 1200mg併用療法を実施する群(N=68人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、奏効持続期間(DOR)などを比較検証した二重盲検ランダム化プラセボ対照の第2相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値5.9ヶ月時点における結果は下記の通りである。全患者群における客観的奏効率(ORR)はTiragolumab+テセントリク併用群の31.3%(95%信頼区間:19.5-43.2%)に対してプラセボ+テセントリク群で16.2%(95%信頼区間:6.7-25.7%)を示した(P=0.031)。
無増悪生存期間(PFS)中央値はTiragolumab+テセントリク併用群の5.4ヶ月(95%信頼区間:4.2-未到達)に対してプラセボ+テセントリク併用群で3.6ヶ月(95%信頼区間:2.7-4.4ヶ月)、Tiragolumab+テセントリク併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを43%減少(HR:0.57、95%信頼区間:0.37-0.90、P=0.015)した。
一方の安全性として、重篤な有害事象(SAE)発症率はTiragolumab+テセントリク併用群の21%(N=14人)に対してプラセボ+テセントリク併用群で18%(N=12人)を示した。Tiragolumab+テセントリク併用群で最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)はリパーゼ増加で、Tiragolumab+テセントリク併用群の9%(N=6人)に対してプラセボ+テセントリク併用群で3%(N=2人)であった。なお、Tiragolumab+テセントリク併用群で治療関連有害事象(TRAE)による死亡が確認されており、発熱、感染症によるものであった。
以上のCITYSCAPE試験の結果よりByoung Chul Cho氏らは「PD-L1陽性の化学療法ナイーブ再発/転移性非小細胞肺がん患者に対する抗TIGIT抗体Tiragolumab+抗PD-L1抗体薬テセントリク併用療法は、プラセボ+テセントリク療法に比べて客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)を改善しました。また、安全性も良好であり、既存の臨床試験で確認されている安全性プロファイルと一致しておりました」と結論を述べている。
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