・アロマターゼ阻害薬治療後に病勢進行した閉経後のホルモン受容体陽性進行性/転移性乳がん患者が対象の第2相試験
・capivasertib(カピバセルチブ)+フルベストラント併用療法の有効性・安全性を比較検証
・全生存期間はcapivasertib+フルベストラント併用群29.3ヶ月であり、
プラセボ+フルベストラント併用群(23.4ヶ月)に対して延長を認めた
6月3日~7日、米国・イリノイ州シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2022)にてアロマターゼ阻害薬治療後に病勢進行した閉経後のホルモン受容体陽性進行性/転移性乳がん患者に対するAKT阻害薬であるcapivasertib(カピバセルチブ)+フルベストラント併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相のFAKTION試験(NCT01992952)のアップデート解析の結果がVelindre Cancer CentreのRobert H Jones氏らにより公表された。
FAKTION試験とは、アロマターゼ阻害薬治療後に病勢進行した閉経後のホルモン受容体陽性進行性/転移性乳がん患者に対して1日2回capivasertib480mg+フルベストラント500mg併用療法を実施する群(N=69人)、またはプラセボ++フルベストラント500mg併用療法を実施する群(N=71人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証したプラセボ対照ランダム化の第2相試験である。
本試験の結果、全患者群における死亡(OS)イベントは108件(77%)だった。全患者群における全生存期間(OS)中央値はcapivasertib+フルベストラント併用群の29.3ヶ月に対してプラセボ+フルベストラント併用群で23.4ヶ月と、capivasertib+フルベストラント併用群で死亡(OS)のリスクを34%(HR:0.66、95%信頼区間:0.45–0.97、P=0.035)減少した。
PIK3CA(エクソン1、4、7、9、20)、AKT1(E17K)、PTENの遺伝子変異のある患者群における全生存期間(OS)中央値は、capivasertib+フルベストラント併用群の39.0ヶ月に対してプラセボ+フルベストラント併用群で20.0ヶ月(HR:0.46、95%信頼区間:0.27-0.79、P=0.005)を示した。
PIK3CA(エクソン1、4、7、9、20)、AKT1(E17K)、PTENの遺伝子変異のない患者群における全生存期間(OS)中央値は、capivasertib+フルベストラント併用群の26.0ヶ月に対してプラセボ+フルベストラント併用群で25.2ヶ月(HR:0.86、95%信頼区間:0.49-1.52、P=0.60)であった。
全患者群における無増悪生存期間(PFS)中央値は、capivasertib+フルベストラント併用群の10.3ヶ月に対してプラセボ+フルベストラント併用群で4.8ヶ月と、capivasertib+フルベストラント併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを44%(HR:0.56、95%信頼区間:0.38–0.81、P=0.002)減少した。
PIK3CA(エクソン1、4、7、9、20)、AKT1(E17K)、PTENの遺伝子変異のある患者群における無増悪生存期間(PFS)中央値は、capivasertib+フルベストラント併用群の12.8月に対してプラセボ+フルベストラント併用群で4.6ヶ月(HR:0.44、95%信頼区間:0.26-0.72、P=0.001)を示した。
PIK3CA(エクソン1、4、7、9、20)、AKT1(E17K)、PTENの遺伝子変異のない患者群における無増悪生存期間(PFS)中央値は、capivasertib+フルベストラント併用群の7.7ヶ月に対してプラセボ+フルベストラント併用群で4.9ヶ月(HR:0.70、95%信頼区間:0.40-1.25、P=0.23)を示した。
以上のFAKTION試験の結果よりRobert H Jones氏らは「アロマターゼ阻害薬治療後に病勢進行した閉経後のホルモン受容体陽性進行性/転移性乳がん患者に対するcapivasertib+フルベストラント併用療法は、プラセボ+フルベストラント療法に比べて全生存期間(OS)を改善しました。また、capivasertib+フルベストラント併用療法はPIK3CA(エクソン1、4、7、9、20)、AKT1(E17K)、PTENの遺伝子変異のある患者群に対しても無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を改善する可能性が示唆されました」と結論を述べている。
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