・再発/難治性濾胞性リンパ腫患者が対象の第2相試験
・モスネツズマブ単剤療法の有効性・安全性を検証
・完全寛解率は60%を示し、達成基準(CR:14%)を統計学的有意に改善した
7月5日、医学誌『The Lancet Oncology』にて再発/難治性濾胞性リンパ腫患者に対する抗CD20/CD3バイスペシフィック抗体であるmosunetuzumab(モスネツズマブ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02500407)の結果がCity of Hope National Medical CenterのLihua E Budde氏らにより公表された。
本試験は、再発/難治性濾胞性リンパ腫患者(N=90人)に対して21日を1サイクルとしてmosunetuzumab単剤(1サイクル目の1日目に1mg、8日目に2mg、2サイクル目の1日目に60mg、3サイクル目以降の1日目に30mg)を投与し、主要評価項目として独立審査委員会(IRC)評価による完全寛解率(CR)を検証した多施設共同の第2相試験である。
本試験が開始された背景として、第1相試験にてB細胞リンパ腫に対する抗CD20/CD3バイスペシフィック抗体であるmosunetuzumab単剤療法の忍容性、抗腫瘍効果は確認されている。以上の背景より、本試験では再発/難治性濾胞性リンパ腫患者に対するmosunetuzumab単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値18.3ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である独立審査委員会(IRC)評価による完全寛解率(CR)は60.0%(95%信頼区間:49.1-70.2%)を示した。この結果はPI3K阻害薬であるcopanlisibで確認されているヒストリカルデータの完全寛解率(CR)14%を統計学的有意に改善しており(P<0.0001)、主要評価項目の達成基準を満満たした。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認された有害事象(AE)はサイトカイン放出症候群(CRS)で、その発症率は44%(N=40人)。主なグレードはグレード1が26%(N=23人)、グレード2が17%(N=15人)を示し、大半の患者は治療開始1サイクル目に発症が確認されている。最も多くの患者で確認されたグレード3~4の有害事象(AE)は好中球減少症、好中球数減少が27%(N=24人)、低リン酸血症が17%(N=15人)、高血糖が8%(N=7人)、貧血が8%(N=7人)であった。重篤な有害事象(SAE)発症率は47%(N=42人)、グレード5治療関連有害事象(TRAE)は発生しなかった。
以上の第2相試験の結果よりLihua E Budde氏らは「再発/難治性濾胞性リンパ腫患者に対する抗CD20/CD3バイスペシフィック抗体mosunetuzumab単剤療法は良好な安全性を示し、高率な完全寛解率(CR)を示しました。本治療は再発/難治性濾胞性リンパ腫の治療選択肢になり得る可能性が示唆されました」と結論を述べている。
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