7月21日、第一三共株式会社は、治療歴を有する進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)患者を対象に、B7-H3を標的とした抗体薬物複合体(ADC)であるDS-7300を投与する第2相臨床試験を開始したと発表した。
ADCとは、抗体と薬物(低分子化合物)を結合させた薬剤。がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して、直接的に薬物をがん細胞へ届けるため、薬物の全身への曝露を抑えつつがん細胞への攻撃を高める。
今回開発されたDS-7300は、新規のトポイソメラーゼI阻害剤(Dxd)と抗B7-H3抗体を結合させた薬剤。B7-H3は小細胞肺がんなどさまざまながん腫で過剰に発現し、がんの進行や予後の悪化に影響を与えるといわれているタンパクの1つである。しかし、これまでにB7-H3を標的として承認を取得した薬剤はなかった。DS-7300は1つの抗B7-H3抗体に約4つのDxdが結合している。
同試験(NCT05280470)は、化学療法による治療歴を有する進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)患者を対象に、3週を1サイクルとして1日目に8mg/kgもしくは12mg/kgを投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、や奏効持続期間(DOR)、全生存期間(OS)や安全性などを評価するグローバル第2相試験。登録予定患者数は80名であり、日本をはじめとするアジア、欧州および北米において実施される。
第一三共はリリースにて「当社は、進展型小細胞肺がん患者さんに新しい治療の選択肢を提供できるよう、本剤の開発を加速させてまいります」と述べている。
小細胞肺がん(SCLC)とは
肺がんは世界で2番目に患者数の多いがん腫であり、そのうちの15%が小細胞肺がんである。小細胞肺がんの大部分は進展型小細胞肺がんであるも、現在治療選択肢は限定的であり、新しい選択肢が求められている。
参照元:
第一三共株式会社 プレスリリース
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