提供:バイエル薬品株式会社
近年のがん医療の進歩により、がんと長く向き合えるようになりました。治療を続けながら、仕事や家庭での役割も担う患者さんたちが増えてきています。効果のある治療を長く続けるためには、副作用をもうまくマネジメントしていく必要がありますが、副作用には、「見える副作用」と「見えない副作用」があります。
今回は、「見えない副作用」~精神症状~というテーマでお二人にお話を伺っていきます。
(この対談記録は、副作用マネジメントの啓発を目的としたものです)
小田村美歌:一般社団法人キャンサーペアレンツ・看護師 3年前に乳がんと診断され、手術、術後化学療法を経て現在は、ホルモン療法を行っています。
聞き手 川上祥子:がん情報サイト「オンコロ」 メディカルプランニングマネージャー
― 「見えない副作用」の中の精神症状としてはどのようなものがありましたか?
西口:体がしんどい時に職場や家族にどこまで伝えたらいいのかという迷いがあります。職場に迷惑をかけたくないという思いや、家事や子どもの遊び相手ができない理由としたくないという気持ちがあり、この気持ちとどうやって折り合いをつけていくのかを常に考えています。治療中の今も、どこまでが副作用で、どこまでが気持ちの落ち込みなのかなと考えながら常に日々の物事と付き合っています。
小田村:近年、化学療法の副作用コントロールは良くなっているという知識があったので、慣れれば化学療法中も休職をせずに仕事ができると思っていました。周りの人からも、治療をしながら働くのは当たり前と言われていました。しかし、二カ月の休職後、職場に戻りたい気持ちはあるものの、なかなか復職出来ず、焦りを感じていました。
また、「私は患者さんを相手にする仕事なのにこんな自分でいいのだろうか、患者さんが話を聞いてほしい気持ちはわかるのに聞けなかったらどうしよう」と臨床の場に戻る自信がなくなっていきました。そして、徐々に普通のこともできなくなるという状況に陥りました。復職に向けて自分に対して期待をするが、復職出来ない現実が徐々に乖離し、そのことに自分自身で気が付いた時には、精神的な症状が進行し気力がなくなっていました。
― 小田村さんは味覚障害で食欲不振になったというエピソードもありました。食事がとれず体力も落ち、それがまた気力の低下を引き起こすこともあったかもしれません。精神症状が体への影響を与え、身体症状が心にも影響する、がんと向き合う上で心と体はつながっており、生活に深い影響を与えていると思います。
― がんと心の問題を専門に扱う精神腫瘍科というのをご存知でしたか?
小田村:知っていました。精神腫瘍科がある病院だからこそ受診を決めたこともあり、化学療法が始まる時に自分から主治医の先生に申し出て、精神腫瘍科をずっと受診していました。そして、今でも時折、通っています。
― 専門家にかかることも大事であり、また同じ悩みを持つ者同士で交流すると良いということも聞きます。西口さんが活動されているキャンサーペアレンツでは、皆さん、どう向き合っておられるのでしょう?
西口:このような悩みは、答えがないことが多く、解決が非常に難しいです。しかし、同じ悩みを持っている人同士で共有することで解決の糸口が見つかることや、肩の力が抜けることがあります。そして、「明日も頑張ろう」と思えるような活力が湧いてきます。
悩みを共有できる仲間を作る場は、落ち込んだ気持ちと向き合っていくために非常に大切な場になると日々感じています。
― 精神的に辛い時には専門家の力を借りる、または同じ悩みを持つ方と分かち合うことが助けになるのですね。
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