2020年2月14日、医学誌『The Lancet Oncology』にて進行性孤在線維性腫瘍に対するパゾパニブ(商品名ヴォトリエント;以下ヴォトリエント)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02066285)の結果がUniversitario Virgen del RocíoのJavier Martin-Broto氏らにより公表された。
本試験は、進行性孤在線維性腫瘍患者(N=40人)に対して1日1回ヴォトリエント800mg単剤療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)を検証したシングルアームの第2相試験である。
本試験が開始された背景として、孤在線維性腫は非常に希少な肉腫の一種である。また、孤在線維性腫の種類により、ヴォトリエントに対して抵抗性を示したり、化学療法との併用により有効性を示す可能性が過去の臨床試験のサブグループ解析の結果より判っている。以上の背景より、進行性孤在線維性腫瘍に対するヴォトリエント単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値18ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は58%(95%信頼区間:34%‐69%)を示し、奏効の内訳は部分奏効率(PR)58%、病勢安定率(SD)39%、病勢進行率(PD)3%を示した。一方の安全性として、最も多くの患者で確認された有害事象(AE)は下痢53%、倦怠感50%、高血圧50%を示した。
以上の第2相試験の結果より、Javier Martin-Broto氏らは以下のように結論を述べている。”本試験は、進行性孤在線維性腫瘍に対するヴォトリエント単剤療法の有用性を前向きに検証した初の臨床試験になります。本試験の結果、進行性孤在線維性腫瘍に対するヴォトリエント単剤療法は忍容性があり、抗腫瘍効果も良好でしたので、本疾患のファーストライン治療になり得る可能性が示唆されました。”
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